「ほの暗い店内に置かれた横長のソファーに、肩を寄せ合うようにして腰掛ける男女。男性はゴルフウェアにチノパンというラフな格好だが、女性は黒っぽいアルマーニのスーツに身を包み、シックな雰囲気を漂わせている。シャンパンのグラスを傾けながら、談笑する2人。他の客は目に入らないかのように、自分たちだけの世界を作っている。
笑みを湛えていた男性がやがて真顔になり、相手の目をじっと見つめて、こう囁いた。『俺たち、もっと早く出会っていれば、よかったね』」
「週刊新潮」によれば、今年(2012年)の5月29日の夜、とある銀座のバーで人目も憚らず女性に甘い声を投げかけたのは歌舞伎俳優の十八世中村勘三郎で、女性は今年の紅白のトリを務める石川さゆり(54)だそうだ。それから半年も経たない12月5日に、惜しまれながら勘三郎は不帰の人になってしまった。
勘三郎の人気がいかにすごかったのかは、テレビや週刊誌を見ればよくわかる。歌舞伎役者としての評価はもちろんだが、その派手だった女性関係が虚実ない交ぜになって報じられている。女性遍歴のスタートは12歳年上の女優・太地喜和子だというのが定説になっているようだが、「週刊文春」によれば、そうではなく、15歳の時に映画『幻の殺意』で共演した吉沢京子だとしている。太地と別れて以後も、大竹しのぶ、牧瀬里穂、樋口可南子、米倉涼子など枚挙に暇がない。
なかでも、宮沢りえとの恋愛沙汰はいまでも語りぐさである。当時りえは角界のプリンス貴花田(現・貴乃花親方)と婚約するが、すぐに破局してしまう。傷心のりえが相談相手になってもらっていたのが勘三郎(当時は勘九郎)だった。だが、恋の糸がもつれてしまったのだろうか、りえは勘三郎が宿泊している同じ京都のホテルで自殺未遂を起こしてしまうのである。
相手を見つめながら相談に乗り、聞き上手でかつHトークもうまい
新潮は石川さゆりだけではなく、シンガーソングライターの椎名林檎とも深く付き合っていたと書いている。「勘三郎さん、私は、世界で一番幸せな女です」。こういうメールを椎名は勘三郎に送っているというのだ。
「勘三郎さんが『俺はこの子が大好きなんだ。もう離したくない』と言って抱きしめたのには驚きましたね」(勘三郎の知人)
記事中には勘三郎と椎名が「恋人つなぎ」している写真も載っている。
なぜそんなに彼がモテるのか。某芸能デスクがこう解説している。「子どものような純真な目で相手を見つめながら、相談に乗る。すごく聞き上手で、かつHトークもうまい。女性を飽きさせず、皆メロメロになってしまうんですね」
これではモテるのは当たり前だ。歌舞伎を愛し、女を愛し、酒を愛した勘三郎は、いまごろ立川談志師匠に「やけに早かったな、ままいいか」と迎えられて、酒でも呑んでいるのだろうか。
森光子死去で東山紀之から近藤真彦に移ったジャニーズ帝国の跡目
今年の後半は森光子、中村勘三郎、小沢昭一と大物が次々に亡くなってしまった。その森光子についての気になる記事が文春に載っている。「森光子『東山紀之』への遺言状」がそれだ。ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長やメリー喜多川副社長と森が仲がよかったことはよく知られている。きっかけはジャニーの父親が興業の仕事をしており、当時、大阪で活動していた森を「踊りがいい」と評価し、大ファンだったことからだという。
異変は森の死亡の連絡がメリーに届くのが遅れたことから起きたそうだ。これは森の所属事務所の社長で甥でもある柳田敏朗社長が、体力の衰えていく森を見せないようにしたことから、最近は二人は疎遠になってしまっていたようだ。
異変の2番目は青山斎場で営まれた本葬で起きた。ジャニーズ事務所を代表して弔辞を読み上げたのは、森とは46歳の年齢差があるにもかかわらず、「恋人以上、夫婦未満」と公言していた東山ではなく、近藤真彦だったのだ。東山と森との関係はどうだったのだろうか。森と同じマンションの住民の証言。
「東山さんは、多いときは週に四回くらいの頻度で森さんの自宅へいらしてましたよ。自分の車で深夜にこっそりやってきて、泊まって朝帰っていくんです。そういうのを知っているから、このマンションの人は、『二人は男女の関係』と信じていましたし、『森さんが若くて肌つやがいいのは、そのせいだ』と言っていました」
では、なぜ東山から近藤にしたのか。森と親しかったテレビ関係者がこう語っている。「森さんは生前にしたためた遺言状に『遺産の一部を東山紀之に譲る』と残したというのです。それを知ったメリーさんが、話が違うとさらに怒った。というのも、森さんが元気な頃、『私が死んだら、子供もいないし、財産の一部はジャニーズの若い子たちを育成するために使って欲しい』と言っていたそうなのです。メリーさんはその意見に賛同し、『ジャニーズ=森基金』という形で、将来的に運営していきたいという考えを持っていた。年収十億円といわれるメリーさんにとって、それは金銭の問題ではなくて、友情の証。なのでメリーさんからすれば、森さんに裏切られたという思いがあるのではないでしょうか」
この背景には、ジャニーズ帝国の跡目争いが絡んでいるという。東山が最有力だったのだが、女優の木村佳乃と結婚し、森とも距離を置くようになっていたようだ。近藤はジャニーズ事務所の「長男」的な存在で、東山を脅かしているそうである。大女優死してジャニーズ事務所紛糾の火種を残す。遺言状は森から離れていった東山への最後のラブレターだったのだろうか。
圧勝自民党の「愛人」は橋下徹抜きの石原慎太郎・維新の会
選挙戦たけなわだが、どれを見ても自民党圧勝だから投票する気持ちも萎えてきてしまう。「週刊ポスト」のブチ抜き全28ページ大特集を見てみよう。まずは定番の議席予測。政治ジャーナリストの野上忠興と本誌取材班によれば、自民党圧勝で246議席、民主党103議席、未来22議席、維新48議席と読んでいる。
選挙区ごとの当落は省く。週刊誌、夕刊紙、新聞の「予想獲得議席」一覧がわかりやすくていい。自民党の獲得議席を一番少なく見ているのが「週刊現代」で174(小選挙区117+比例57)。一番多く見ているのは「朝日新聞」で272(213+59)。民主党の獲得議席を一番少なく見ているのがやはり現代で19(1+18)、一番多いのが「AERA」で132(77+55)。維新の最小はAERAで39(25+14)、一番多いのが現代で183(112+71)。こんなにとれるわけはないだろうが!
未来の最小はAERAで9(3+6)、最大は「日刊ゲンダイ」の60(30+30)。ゲンダイは小沢一郎贔屓ということもあって多いのだろう。下に結果という欄があるから、選挙結果が出たら、どこが一番近かったかを採点してみるがいい。
政党が乱立したことで自民党が漁夫の利を得る。全得票数の3割程度でも圧勝してしまうのがいまの選挙制度なのだ。だが、あまり大勝させるとバッイチ安倍総理がどう迷走するかわからない。
ポストは政権交代で「業界地図」が激変すると書いている。公共事業をばらまくといっているのだからゼネコンが大喜びするのは当然だ。電力会社も同じで、東電・柏崎原発と関電・高浜原発は再稼働の準備を始めたとしている。通信分野では自民党系のNTTが民主党系のソフトバンクから覇権を奪取するのではないかと見ている。航空業界では民主党政権下で再建を成し遂げたJALには厳しく当たるのではないかと見る。
気になる安倍新総理の経済政策だが、「アベノミックス」は株式のプロたちにどう見られているのか。意外といっては失礼になるが、「自公で過半数なら千円高も」あると、大方のプロは、増減に幅はあるものの、12月14日の終値から12月17日の終値までに上がると見ている。
また、選挙後の安倍総理の「愛人」選びには、民主党ではなく維新と合流するケースもあるのではないかと読む。石原慎太郎や平沼赳夫はもともと自民党と近いから、橋下徹大阪市長を外して一緒になるのではないかというのである。これは真実味がある。選挙中でも石原と橋下のいい分はかなり食い違っていたし、そこを他党に突かれていたから、選挙後の分裂は必至であろう。
今回は安倍自民党の選挙ポスターをもじっていえば、「古い自民党を取り戻す」だけの選挙でしかないようだ。バツイチ&腹痛総理では難問山積の時代の舵取りをするのは荷が重いのではないか。新潮は「『安倍晋三』勝って目論む真夏の『衆参W』」とやっているが、来年の参議院選挙が天下分け目の合戦場になりそうである。