周辺で6人の遺体が見つかり、まだ3人の行方が分からない前代未聞の事件の主犯格、角田美代子容疑者が兵庫県警本部内の留置場で自殺した。「『自殺するぞするぞ』と予告されて、されちゃったんですから管理上の問題ですよ」という厳しい指摘も出ている。
角田は家族に会えないことを理由に、10月半ばごろから「生きて出られないなら生きていても意味がない。死にたい。どうやったら死ねますか」などと話していたという。
その角田が12日未明(2012年12月)、Tシャツの長そで部分を首に巻きつけ息絶えているのが見つかった。県警では自殺を警戒して、1時間に4回の巡回を6回に増やす体制を敷いていた。狭い部屋に3人が留置されていたのも、自殺防止への配慮があったのだろう。
留置場では布団から顔出させるのが管理の基本
12日午前5時25分、女性警官が見回ったときには角田はイビキをかいて寝ていた。ところが、5時38分に見回った時は布団を顔にところまで上げ首元に黒のTシャツが見えたという。ここで異変に気付くべきだったが、6時10分の見回りの時に寝息がないように感じて初めて気づき、6時21分に房の中に入って確認するとすでに息絶えていたという。県警では「落ち度はなかった」とコメントしている。
しかし、元大阪刑務所の刑務官だった板本敏夫氏は自殺志願の容疑者の監視について次のように話す。「『自殺するぞ』と予告されて、されちゃったのは管理上の問題。寒くない施設ですから、布団から顔を出させるというのは基本中の基本。顔まで掛けていたのを下げさせていれば、もっと早くわかったような気がします」
古巣の不祥事に、元兵庫県警捜査1課刑事の飛松五男氏はもっと手厳しい。「始めはウソだろうと思いましたよ。いまは怒りに変わっています。せっかく情報をもとに逮捕して、毎日のようにここまで自供したと警察のパフォーマンスだけして、自殺される。まして県警の留置場で自殺されるのは警察の存在そのものが疑われていると思います」
神戸地検の幹部は「被疑者死亡で角田容疑者は不起訴処分にせざるを得ない。共犯者も数人が不起訴になる可能性がある」という。
司会の羽鳥慎一「可能性ってどのくらいですか」
元検事の大澤孝征弁護士は「角田容疑者は死亡したのでやむを得ないが、共犯者数人が不起訴処分を地検の幹部が言ってはならない。共犯者の供述を固めて真相究明するのが本来のやり方で情けなさ過ぎる」