これはすごいドラマである。何がすごいったって、主役があのバナナマンの日村有紀なのだ! そう、太った、おカッパ頭の、ギョロ目の、あのヒムラである。しかも、しかもだよ。毎回、ヒムラだけが変わらず、監督と相手役の女優が変わるという、ヒムラにとっては何とも役者冥利に尽きる企画なのである。ヒムラをここまでイロドってみようという企画者の度胸にまず敬服。
監督は豪華にも堤幸彦(しかも脚本は北川悦吏子だ)から始まり、設楽統(バナナマンの相方、初監督)に終わるという凝ったラインアップ。女優陣は剛力彩芽、酒井若菜、橋本愛、本刈谷ユイカ、北乃きい、芦田愛菜、坂井真紀、市川美和子、木南晴夏、星野真里という個性あふれる面々だ。
「一瞬、健さんみたいにカッコよく見えた」(坂井真紀)
放送時間は40分足らずと短いが、1話完結で、どれもよくまとまった心温まるラブストーリーである。残念ながら始めの4話は見られなかったが、5話から見た感じでは、監督はここぞとばかり遊び心を見せ、女優ものびのびと本来の演技力を発揮している。
第6話「脳内彼女」の芦田愛菜ちゃんは、何とヒムラと結婚式を挙げちゃうし、第7話「張り込み」では、映像に昭和の刑事ものの雰囲気を出している。共演した坂井真紀は「日村さんが一瞬、健さんみたいにカッコよく見えた」(まさか!)だって。
異色だったのは第9話「日村大岩」。全体が人形浄瑠璃仕立てになっていて、ヒムラと木南晴夏が人形を手で操ったり、ラジコンカーの車輪に乗せてブンブン走り回らせたりする。鳴り物も、手で操る時は伝統の太棹三味線と義太夫で、ブンブンの時は同じ人たちがエレキギターを演奏し、ロックみたいな歌を歌う。人形劇の筋立ても「曽根崎心中」あたりから取っている。ここまで遊んでくれると「おみごと!」と言いたくなる。あと1話で終わってしまうけど、お勧めです。(TBS系月曜深夜0時20分)
(カモノ・ハシ)