原子力規制委員会の専門家チームは10日(2012年12月)、日本原子力発電の敦賀原発2号機(福井県)の真下を通る断層を限りなくクロに近い活断層と判定した。再稼働は認められず廃炉の可能性が高くなったが、日本原電は「受け入れがたい」と開き直った。
専門家「非常に活動的」「こうした敷地自体が異常」
敦賀原発は1号機(運転開始1970年3月)と2号機(同87年)がある。1号機は原子炉等規制法で原則廃炉と定められている「運転40年」をすでに超えている。今回、活断層の上に建てられていると判断されたのは2号機だ。原子力規制委の専門家チームの評価会合で、「活断層の可能性を否定できない」との結論に達した。
原子炉建屋の200メートル東を通る浦底断層について、「非常に活動的で影響は計りしれない」(鈴木康弘名古屋大教授)、「こうした活断層が敷地内にあること自体異常」(宮内崇裕千葉大教授)という。この浦底断層から派生した「D-1」と呼ばれる断層とD-1のすぐ近くに新たに見つかった断層はいずれも活断層の可能性が高い。
原子力規制委員長「再稼働の安全審査はとてもできない」
原子力規制委の田中俊一委員長は「今のままで再稼働ということでの安全審査はとてもできない。印象ですけど、そう判断しました」と語った。専門家チームは12日に調査の進捗状況を規制委に報告し、これを受けて規制委としての判断を行うことにしている。
コメンテーターの宮田佳代子(ニュースキャスター)は「専門家チームの存在意義を確認するうえで、この判断は大事ですよ。政治や電力会社と無縁なところで、科学的な分析だけでどれだけの判断が出せるか。これこそ規制委が求められているものです」と話す。
舘野晴彦(月刊『ゲーテ』編集長)「日本原電は受け入れがたいと言っているが、何を考えているのか。普通のビジネスの問題ではない。一歩間違えば国が傾く問題ですよ。そもそもなぜあそこに原発を認めたのか。これまでの政治のあり方を検証すべきだと思う」
福島原発の事故以来、電力会社やそのチョウチン持ちだった原子力安全・保安院の甘いチェックは否定され、舞台が全く変わったことをもっと覚悟すべきだ。