ノーベル賞の医学生理学賞に輝いた山中伸弥・京大教授(50)はユーモアもあり、そのしぐさのひとつひとつが様になる人だ。10日夕(日本時間2012年12月11日未明)にストックホルムで行われた授賞式には、ホワイトタイと燕尾服で出席、続いて開催された晩さん会ではスウェーデンのマドレーヌ王女と隣り合わせで、にこやかに談笑していた。
大受けジョーク「授賞決定前日に委員の女性からウインク」
授賞式でスウェーデン語で述べられた受賞理由は、「iPS細胞の発見はこれからの素晴らしい医学の発展のスタート地点になるものである」というものだった。山中教授は共同受賞の英国のジョン・ガードン氏に続いてグスタフ国王からメダルと賞状を授与された。
授賞式に先立って行われた記念講演では、得意のジョークで満員の会場を和ませた。「受賞決定の前日、(ノーベル賞選考委員の)女性に会いました。別れる時、彼女がさよならを言いながらウインクしたような気がしました」。ここで笑いが起きる。本人も表情を緩め、ひと呼吸おいて「その時は不確かでしたが、今ではウインクしたと確信しています」というと、会場はまた沸いた。
現地のストックホルムから取材キャスターの三澤肇が伝える。「(授賞式会場から山中教授が)いま出てきました。ちょっと笑みを浮かべていますね」。報道陣が「ひと言お願いします」と呼び掛けると「ほっとしました。メダルはまだちゃんと見ていません」
クライマックスの晩さん会は日本時間の午前3時過ぎに、受賞者やロイヤルファミリー、招待客ら1300人以上が参加して始まった。シャンパンやワインにまじって日本酒もふるまわれた。神戸市にある神戸酒心館の純米吟醸「福寿」だった。料理は前菜が「北極イワナのマリネ・カリフラワーテリーヌ添え」、メインは「キジとキノコのソテー・洋なし冬野菜」、デザートは「ピスタチオのマスカルポ―ネチーズ・黒チェリーのソルべ」というものだった。