刺されたら見つけて掃除機で吸引
日本ペストコントロール協会の平尾素一副会長は、「日本はいま5年前のニューヨークの状況にある」という。衣類や荷物に付いて入ってくるのを完全に防ぐのは不可能で、早く見つけることが第一だが、「それにはまずナンキンムシを知らないといけない」。これは大変だ。日本ではもう見たことがある人なんかほとんどいない。
アメリカでは殺虫剤ではなく、IPM(総合的病害虫管理)とよばれる対策をさぐっている。もとは稲の害虫駆除に天敵などを使う方法だ。そのための新種の習性の研究、研究者の育成も進められている。手がかりのひとつは熱に弱いこと。45度以上になると数秒間で死ぬ。そこで、電気で60度まで温度を上げられる旅行用スーツケースも現れた。吸引式や粘着式の捕獲装置もさまざまに工夫され始めている。
平尾副会長は「見つけて掃除機で吸い取ることです」という。ナンキンムシは人の血を吸って繁殖するから、食われればわかる。シーツ、マットレス、ソファや畳のすき間、カベの絵の裏側…。黒いフンも潜伏場所の手がかりになる。だが、それだといわば手作業の戦いではないか。布団乾燥機が案外有効かなと思ったりもする。何とも不気味な話である。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年12月6日放送「忍び寄る『スーパーナンキンムシ』」)