住民反対で新設頓挫「迷惑施設の最たるものだ」
火葬受け入れが限界にきつつある埼玉県川越市は、火葬場建設候補地を決めて発表した途端、地元からイメージが悪くなると反対の声が上がって立ち往生した。候補地の近くに住む男性は「ここに持ってこないで欲しい。とてもじゃないが容認できないですね。迷惑施設の最たるものですから」と露骨に反対する。これが火葬場に対する一般的な認識だろう。
だが、自治体が新しい試みを実施して成功したところもある。広島県三次市は火葬場候補地を公募にした。一帯を公園として整備することを条件に、9地区の候補地をあげて公募を行ったところ、大田幸地区に決まった。住民が参加した火葬場建設のための検討委員会も立ち上げられ、どんな施設にしたいかの議論が行われ、最終的に桜やモミジを植え、四季折々の自然の中で亡くなった人を見送れる施設にすることで決まった。
その新しい施設が今年4月オープンした。とくに住民の強い要望だった従来の縦1列の焼却炉をやめて、1つずつ個室にして親しい人だけで故人を偲ぶことができる施設にしたのが好評だという。武田代表理事がこう語る。「本来の火葬の意味を考えて、自分たちがどういう空間でお別れしたいのか、あるべき姿を自分のこととして考えないといけない時期にきているんです」
最期の別れの場が迷惑施設の最たるものであっていいのかどうか、問われている。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2012年12月5日放送「お葬式が出せない どうする『葬送の場』」)