笹子トンネルの天井崩落事故で、高度成長期に造られた上下水道や橋、高速道路の高架などのインフラ老朽化が浮き彫りになった。完成して50年が経過した東京・港区麻布十番の首都高速2号線の高架は、橋脚部分のコンクリートが剥がれ鉄筋がむき出しになっている。補修を必要とする老朽箇所は9万件に達するという。
成長期の急増インフラ50年目の節目
インフラの老朽化に詳しい東洋大学経済学部の根本祐二教授は、「日本のように、わずか20年、30年の間に整備をしてしまった国は世界でもまれです。急速にインフラを整備したために、急速に老朽化する。そういう時期をいっぺんに迎えてしまった」という。
根本教授によると、東日本大震災でそれが顕著に現われたという。茨城県では津波に関係なく橋が真ん中から折れ、1人が亡くなった。東京・千代田区の九段会館では天井が落下して2人がなくなったが、築77年という建物だった。根本教授はこう指摘する。
「建物の老朽化の目安は築50年で、今がその節目にあたります。高度成長期に造られた建物、橋、上下水道、学校、公営住宅、庁舎などすべてが老朽化している」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト