新しい歌舞伎座の核となる「世代のつなぎ役」
人気役者ゆえにもともと疲労が蓄積していたフシがある。昨年1月にも勘三郎の体を病が襲っていた。「特発性両側性感音難聴」。疲労が原因とされる難病指定の病だった。梨園に詳しいコメンテーターの萩谷順(元朝日新聞編集委員)は、「歌舞伎界の原点の直系で座頭ですから、マネジメント、後輩の指導だけでも大変なストレスだったと思います」と話す。
司会の羽鳥慎一「歌舞伎界において勘三郎さんはどんな存在だったんですか」
萩谷「大損失ですよ。いまの歌舞伎界は、市川団十郎さん、尾上菊五郎さん、中村吉右衛門さん、片岡仁左衛門さんなど70歳前後の大看板とずっと若い市川海老蔵さんの間を、57歳の勘三郎さんが一人で支えてきた。新しい歌舞伎座ができたときに核になっていく人だった。これからの歌舞伎界の中心を失ってしまったようなことになるかもしれない」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト