「人工構造物なので経年劣化はあると承知している」。山梨県の中央自動車道笹子トンネルで起きた天井崩落事故の原因に関して、中日本高速道路の金子剛一社長(69)はきのう3日(2012年12月)、こう述べた。要するに、付属部品も含めトンネルが老朽化していたということだ。「朝ズバ!」はきのうに続いてこの事故を取り上げ、原因を探った。
高速道路に耐用年数の基準なし
「天井を吊りあげていた金具を固定するボルトが抜け落ちた可能性があります」とアナウンサーの加藤シルビアが模型を示しながら説明する。崩落したコンクリート製の天井板は縦1.2メートル、横5メートル、重さ1トン。これを支える吊り金具を、長さ23センチ、直径16ミリのボルト2本と接着剤でトンネル上部のコンクリートに固定していた。それがボルトのところから落下したといわけだ。
司会のみのもんたが驚いたように聞く。「そんな重いものを吊り下げるなんて、構造上おかしくないですか」
問題は経年劣化対策だ。笹子トンネルができたのは1977年で35年もたっている。年々劣化していくトンネルにどのような検査や補修がなされていたのか。これまでの点検や今年9月の点検でも、ボルトの部分については目で見る目視だけで、ハンマーで叩く打音検査や触ったりする触診検査は行っていなかった。点検の結果は異常なしだった。
コメンテーターの杉尾秀哉(TBS解説・専門記者室長)は「問題はこういう構造でどれぐらいの年数もつのかという耐用の期間が、設計の段階から全くされていなかった可能性があるということですよ。100年、200年、半永久的にもつものではない。では、どれだけもつか。そこがはっきりしていなかった」と指摘する。中日本高速道路も「耐用年数について何年という基準はありません。すべて現場を点検して異常があれば判断して対応しています」と述べている。
委員長「遅れてしまって残念です」
実は今年11月に、東日本、西日本と3社合同で外部の有識者を交えた大規模修繕に関する委員会を設置して検討を始めたばかりだった。その委員長で社会基盤学専門の東大大学院の藤野陽三教授がスタジオに出演した。「いままで日本ではインフラによる事故で死亡者は出てなかった。(委員会の検討が)遅れてしまって残念です。これからは設計そのものの考え方を少し変えて、2重の安全対策を取り入れていかないと」と語る。
みの「検討委員会ができて即事故が起きた。皮肉ですね。しかし、これからトンネルを通ったり橋を渡ったりするときは怖いですね」
三屋裕子(スポーツプロデューサー)「怖い。これまでトンネルの天井を見て走ったことないですもの」
同じような構造のトンネルは全国の高速道路と国道に49本あり、国土交通省は緊急調査を指示した。暮れの交通量が増える時期だが、早く点検してもらわないと、とてもじゃないが安心して通行できない。