「見れば見るほどわからなくなってきたという視聴者の方が多いかもしれません」と司会の小倉智昭はいう。衆院選の各党公約がきのう29日(2012年11月)にほぼ出そろったが、脱原発、TPP、消費税、景気対策、外交…と、似たようでもあり違うようでもあり、たしかに見極めが大変だ。
新聞・テレビは伝え方に苦労
日本維新の会は骨太2013~2016「日本を賢く強くする」を発表した。石原代表の「自主憲法制定」で譲った橋下代表代行が、いったんは消えた「脱原発」を盛り込むなど、内輪のせめぎ合いが見られる。石原は「細々した政策を話してもしょうがない。みんな各党勝手なことをいててね」。 橋下は「骨太は薄っぺらいように思われるかもしれませんが、書きゃあいいってもんじゃないんですから」
後出しじゃんけんで話題をさらった日本未来の党は、嘉田代表が「小沢氏は党の重要ポス トには就かない」といったが、選挙となれば「国民の生活」が核になるのは間違いない。自民の安倍総裁は「トイレに行ってる間に新しい党ができたりなくったりで、論評は意味がない」とことさらに無視の構えだ。
そんな中、昨夜、東京・六本木に各党の党首が続々と集まった。ニコニコ動画の「ネット党首討論会」だ。維新の会と新党改革をのぞく10党が激論を交わした。ただ、配信はネットだけ。ニコニコ動画は視聴者の書き込みが画面にリアルタイムで流れるのが売りで、さあこれをどう伝えるか。朝日新聞までが「140万人キタ~~」(社会面)などと、これまでの選挙報道とは大変な様変わりだが、中身は「垂れ流し」だから、どう要約するか。テレビは中身を出せないから、既存メディアも新時代を感じざるをえない。
「民主・細野VS公明・山口」ほとんど違わない公約に退屈な「朝から生討論」
「とくダネ!」は先週からつづきの「選挙スペシャル」で、きょう30日(2012年)は民主党の細野豪志政調会長と公明党の山口那津男代表だ。日米問題、子育て、復興などで意見を戦わせたが、騒々しい会見やニコニコ動画に比べると、なんとも地味に見えるから不思議だ。
「TPP」「脱原発」「消費税」について「○×△」で問うと、民主がTPPを空白にした。細野は「全体的な貿易構造の中の選択肢のひとつだから」と今後の検討をいう。公明はこれに△で、「いま選挙で争点にするのは時期尚早だ」と野田首相をけん制した。他は両者とも当然○だ。
自民党の安倍総裁がいう国防軍と憲法改正について聞いた。細野は「戦争ができる軍隊になる」と反対で、山口は「自衛隊がそのままなら反対。憲法改正して集団的自衛権をもつものなら、なおのこと反対」
小倉「安倍さんは急いでいるように見える」
山口「よく説明する必要があるでしょう。憲法改正は息の長い話です」
細野「安倍さんは前のときから憲法改正を全面に出していた。他の政策がおそろかになりはしないかとちょっと心配」
ほかに基地問題、被災地の復興、子育て支援などを論じたが、盛り上がったのは復興予算の流用問題くらい。テーマを長々と論ずるのはどうしても平板になる。真面目な話ほどそうなる。むしろ、遊説や記者会見での発言のつまみ食いの方が印象は強い。その並べ方ひとつで特定の方向へ誘導することだって可能だろう。視聴者はそれを拾い読む。投票に反映する…。あらためて、テレビの選挙報道はきわどいなと考え込まされた。