「猪瀬って嫌な奴だなぁと思ったけど、勝たないといけないしね」
「日銀の独立性についてよく言われるけど、今は野党の党首だから何を言ってもいいんだよ。オレだって総理になったらそんなことは言わないよ。政策目標は言うけど、手段は言わない。それで今、言ってるんだ」
「政権に復帰したら経済諮問会議を復活させる。事務局を財務省にしたら終りだよね。消費税についても、上げなくてもいいんじゃないの。来年の四~六月期がマイナス成長になったら上げないよ」
「訪米は真っ先にする。中国は後回しでもいいだろう。集団的自衛権については、安保基本法で解釈を変える。ただオバマ政権なので訪米のタイミングではなく、参議院選挙までとっておいてもいいかな」
「猪瀬は世論調査の数字が良くて『オレの数字良かつたでしよ』と菅(義偉・幹事長代行)に言ってきてさ。それを聞いて猪瀬って嫌な奴だなぁと思ったけど、勝たないといけないしね」
「総理になったら、(新聞、テレビ記者による)ぶら下がり取材は受けない。毎日、ひたすらフェイスブックで発信する!」
自民党の安倍晋三総裁の評判ががた落ちしていると「週刊文春」が書いている。その中の安倍語録である。憲法改正、集団的自衛権の行使など、ウルトラタカ派の石原慎太郎前都知事を凌ぐ過激な発言と、経済政策への言及が多いが、ナンバー2の石破茂幹事長はポスト安倍を虎視眈々と狙っているそうだ。また、フェイスブックにたいそう熱心で、ネトウヨと呼ばれるネット右翼からは熱烈歓迎されているようだ。
「インフレ政策」で物価急騰・給料上がらず―若者と年金生活者直撃
インフレ政策をとると公言しているので、総理になってからの「安倍不況」が心配だと経済ジャーナリストの荻原博子がこう指摘する。
「インフレは、物価と同じように賃金も上がらなければ、増税と一緒です。ただ国際競争が激しい経済情勢で物価と同じように賃金を上げられるかと言えば、かなり難しいでしょう。また年金も物価と同じようには上がりません。派遣で働く人たちや、年金生活者などは大きな打撃を受けます」
景気がよくなっても、賃金が上がらなかったのは、前回の安倍政権時も同じだったと続ける。
「安倍さんが総理だった○六年から○七年は、いざなぎ景気を超える戦後最長の景気拡大期間で、富裕層は好況でしたが、民間給与は下がりっぱなしでした。この十年で平均給与は四十万円も減っています。給料に跳ね返らない景気回復が、前回と同じように起こるかもしれません」
安倍の唱える2~3%のインフレに近い状態になったのが、2008年6月だった。この時、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)が前年同月比で1・9%アップしたが、原因は、原油や穀物の国際価格の高騰だった。その結果、食料品が高勝、中でもスパゲティが約3割、鶏肉が約1割値上がりし、企業は内容量を減らすなどで対応しようとしたが、消費者の購買意欲は大きく落ち込んだ。インフレは主婦にとっても厳しいと文春は書いている。
大手銀行アナリストがこう嘆いているという。安倍の経済政策をそのまま実行することは、日本国民をモルモットにした壮大な社会実験だが、失敗する確率が圧倒的に高く、その代償として国債暴落やハイパーインフレを起こし、日本を壊滅させるリスクが大きすぎるというのだ。
「週刊新潮」は妻のアッキーこと昭恵のやっている居酒屋が大繁盛していると報じているが、「周囲の忠告に耳を貸さず、フェイスブックというネット空間での人気に酔う安倍氏」の危うさを指摘している。
公認返上!元候補者が呆れた「維新の会」デタラメ選挙区決定「じゃんけん」こそなかったが…
さて、各誌の選挙予測が出揃った。「国民の生活が第一」代表の小沢一郎が嘉田由紀子滋賀県知事を担いで「日本未来の党」を作り、まだまだ不透明なところはあるが見てみよう。
文春は前号だが、久保田正志政治システム研究所代表に予測をさせている。それによると、民主党86、自民党244、国民の生活が第一が16、みんなの党が21、維新が64だ。「週刊現代」は「『橋下―石原維新』がこの選挙区でこんなに勝つ」の中で、前回選挙で自民党が獲得した119議席と同じぐらいの議席を得る可能性があると読んでいる。
「週刊朝日」は政治評論家の森田実と田崎史郎(時事通信解説委員)に予測させている。 森田は民主党93、自民党247、国民の生活が第一が19、みんなの党が23、維新が52。田崎は民主党110、自民党220、国民の生活が第一が10、みんなの党が30、維新が50である。
今週号の文春で元小泉総理の秘書官・飯島勲が「激辛選挙予測」をしている。それによると、自民党230強、民主党120弱、維新が70、みんなの党が10、国民の生活が第一が9である。
私も自民党が意外に苦戦する気がする。民主党は野田佳彦首相の自爆解散が功を奏して善戦するのではないか。日本未来の党は「脱原発」を今選挙最大の争点に持っていければいい戦いができるのではないか。
注目の維新だが、新潮に維新の候補になったが降りてしまった東京都内の会社員・斎藤洋一郎(32)の話が載っている。彼は維新が10月17日から始めた候補者の第2次に応募した。締め切りは11月1日。書類を送ったのはギリギリの10月31日だった。
「書類選考通過の連絡を受けた斎藤氏が面接のために大阪に赴いたのは11月17日。維新のスタッフ2名による約30分の面接を受け、その4日後の21日、再び大阪を訪れた彼は早くも公認決定を告げられたのだ」(新潮)
斎藤がこう語る。
「21日の最終面接ではさすがに橋下さんか石原さんに会うのかと思っていたのですが、違う人でしたね。驚いたのは、小選挙区の候補を4つ挙げられ『どこにするか決めてくれ』と言われたことです。僕の故郷の岐阜県は入っていなくて、静岡7区と静岡4区など。静岡7区を選んだのは、その中で比較的岐阜に近かったからです」
その日に慌しく写真撮影や選挙に関する簡単な説明会が行われ、供託金300万円と広報費100万円の計400万円を党に振り込むよう記した用紙も配られた。知人が一人もいないところで活動を始めた彼に、翌日、維新から電話があり、「静岡7区ではなく4区にしてほしい」といってきたというのだ。彼は翌日辞退を申し出た。選挙戦が始まる前からこのていたらくでは、前途暗澹かもしれない。
TPPで日本に出回る「成長ホルモン漬け米国牛肉」乳がんや子宮がんの危険因子
文春は石原慎太郎の三男・宏高が、前回の選挙の前に「幸福の科学」に入信していたとの仰天スクープを掲載している。選挙に弱い彼が、少しの票でもほしくて入信したのではないかというのだが、宏高本人は幸福の科学へ行ったことは認めたが、入信したことはないとコメントしている。
今回の選挙の大きな争点に「TPPに参加するべきか否か」というのがある。新潮はこのよくわからないTPPは、日本にとって得か損かを検証している。自動車や家電などの製造業が競争力を回復し、産業の空洞化も食い止められ、日本は輸出型の貿易立国として甦ると、賛成派はいうが本当か。大反対しているのが農業関係者だが、中には日本人が好んで食べる短粒種米がTPP参加国が作る外米には置き換わらないと主張する専門家もいるようだ。
悲観論&楽観論ともに説得力があるが、近年、農業従事者にとって衝撃的な事態も生じていると農業ジャーナリストの土門剛がこう話す。「『日本人は美味しい国産米しか食べないから大丈夫』というのは、コメ農家の希望や幻想でしかありません。今年3月、スーパーの西友が、中国産のジャポニカ米を、国産米より数百円安い、5キロ1299円で販売した。そうしたところ、消費者の支持を得て、飛ぶように売れたのです」
新潮はこう嘆息する。「長引く不況のせいで、かつての常識は通らなくなってきているのか。コメに限らず、TPPに加盟すれば、牛肉は国産の2分の1から5分の1の値段の米国産や豪州産がスーパーに並ぶだろう。バターや脱脂粉乳を使った加工品、砂糖なども、国産の3分の1の価格の商品が店頭で幅をきかせることになる。消費者にとっては歓迎すべき話かもしれない。しかし、食の生産者にとっては死活問題だろう」
アメリカでは牛肉を短期間で効率よく育てるために、エストラジオールやゼラノールという生長ホルモン剤の使用が許可されている。日本では禁止だ。日本で売られているアメリカ産牛肉の残留ホルモンを測ったら、赤身部分で600倍、脂肪部分で140倍のエストロゲン(女性ホルモン)が含まれていたと北海道対がん協会細胞診センターの藤田博正所長が話している。これは乳がんや子宮がんなどの危険因子といわれていて、日本でもアメリカのようにこの種のがんが激増しているというのだ。
米当局が日本に要求している中で最も注意しなくてはならないのは医療分野である。アメリカが要求しているジェネリック薬品の後発会社の製造販売には、治験をもう1度行わなくてはいけない。自由診療と保険診療の混合診療は日本では認められていない。アメリカはこられを解禁せよと要求してくる公算が高い。これが国民皆保険を崩壊させる危険性があるとジャーナリストの横田一は語っている。
交渉に参加しておいて離脱はいつでもできるという向きもあるが、現実には、離脱すれば他国との間で相当な軋轢を生むことになるから難しい。そのことを肝に銘じるべきだと新潮は結んでいる。