北国では雪の便りも聞かれ、いよいよ本格的なスキーシーズンが始まるが、きのう26日(2012年11月)、ひとりの少女がスキージャンプのワールドカップで見事に優勝し凱旋した。ソチ冬季五輪の期待の星の高梨沙羅選手(16)だ。ノルウェーのリレハンメルで24日に行われた今シーズンの開幕戦で、W杯通算2勝目をあげた。
「2人のサラ」が競う2014年ソチ五輪金メダル
1回目は3位だったが逆転した。高梨と並び女子ジャンプ界の「2人のサラ」といわれる昨季W杯総合優勝したアメリカのサラ・ヘンドリクソンを破っての勝利だった。
スキージャンプ女子競技は再来年(2014年)のソチ五輪から正式種目になり、高梨に金メダルの期待がかかる。高梨は北海道上川町出身で、今春、中学を卒業して旭川市のグレースマウンテン・インターナショナルに入学、本格的にジャンプに取り組んでいる。
リポーターの西村綾子がインタビュー取材した。今回の優勝について「今の技術の中で最大限のことができたので自然にガッツポーズが出ました」と振り返る。今後の目標は「まだまだ自分の技術の足りないところに気づいたので、課題をしっかり直すこと」をあげた。
彼女が一躍脚光を浴びたのは昨年(2011年)1月の札幌のHBC杯で見せた国内女子最長不倒となる141メートルの大ジャンプだった。今年3月に蔵王で行われたW杯では日本女子として初めて優勝、昨シーズン世界総合3位に入った。
身長152センチといたって小柄な選手だ。どこに強さの秘密があるのか。長野五輪金メダリストの原田雅彦は、(1)助走のスピードをロスしない踏み切り(2)失敗の率をなくす修正力と適応力の高さ(3)精神的な集中力の強さを上げる。
「1日10時間勉強。学業に余裕生まれればジャンプに専念できる」
ふだんも高校1年生とは思えないほど落ち着いている。開幕戦優勝にも浮ついたところは見えない。学業も充実しているようだ。なんと入学わずか4か月で高校卒業程度認定試験に合格したのだ。そのために「(1日)10時間勉強していました」。勉強に余裕が生まれれば、不安なくジャンプに専念できると、通学時間や休み時間など空いている時間をすべて勉強に充てたという。
司会の加藤浩次もすっかり感心した表情で「すごいねえ」
ロバート・キャンベル(東大教授)「昨シーズンもヨーロッパの各国に遠征していて、その間にしっかり勉強していたことがすごい。また英語を学ぶためインターナショナルスクールにいったというが、自分の目標に結びつけて勉強するタイプ。すごいですね」
ソチ五輪の日本の代表枠は4人。高梨は重点強化指定選手になっているが、最終的には来シーズンの成績で選ばれる。誰もが応援したくなる選手だ。キャスターのテリー伊藤「けがしないで頑張ってほしいね」