判決は求刑通り懲役15年だった。しかし、誤認逮捕された親族の心の傷は深い。15年前、千葉県流山市で会社員・田島由美さん(当時24)が殺害され、祖母と姉夫婦が誤認逮捕された事件で、「真犯人」として強盗殺人、強盗強姦罪などに問われた当時17歳の無職の男(33)の裁判員裁判の判決が、きのう21日(2012年11月)に千葉地裁であった。
15年前、当時17歳だった男の残忍犯行―2001年に法律改正
事件が起きたのは1997年5月。判決文によると、元少年の男は田島さん方マンションに侵入し、田島さんを脅してキャッシュカードを奪い、乱暴したうえ、刃物で背中を刺し首にタオルを巻き付けて殺害した。
男は捜査段階の供述を翻し公判で殺害を否認したが、判決は被告の主張は不自然と退け、強固な殺意に基づく残忍な犯行であり、極めて悪質と断罪、当時の少年法を適用して懲役15年とした。当時の少年法では18歳未満が無期懲役相当とされた場合は懲役10~15年に軽減するよう規定されている。その上限が適用されたことになる。
コメンテーターの弁護士・本村健太郎が解説する。「少年法の規定で18歳未満の少年が死刑に相当する罪を犯した場合は、無期懲役に緩和するという規定があります。無期懲役に相当する罪を犯した場合は、当時の規定では上限15年となっていました。2001年の改正で現在では無期懲役相当は無期懲役のままで処分することができます。今回は事件当時の少年法を適用したわけです」
誤認逮捕された姉「警察は何やっているのか。悔しくて悔しくてたまりません」
裁判を傍聴したリポーターの阿部祐二が、誤認逮捕された姉の意見陳述を紹介した。検察は誤認逮捕の翌年、「嫌疑不十分」で不起訴とし、「真犯人」逮捕を受けた今年2月に「嫌疑なし」で改めて不起訴とした。しかし、それで誤認逮捕という「罪」が償われたわけではない。姉は次のように述べた。
「妹は犯人に命を奪われた。後にも先にもこんなつらいことはありません。15年前、身を切られるような思いをした後、誤認逮捕され想像を絶するような体験は忘れられません。でも、犯人は15年間笑っていたんでしょうね。警察は何をやっているのかって、それを思うと悔しくて悔しくてたまりません」
「真犯人」とともに裁かれるべきは、警察の事件捜査そのものではなかったか。