あっぱれ!金子哲雄「遺著」発売―死んでからもお得情報伝えるのが使命

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   41歳で10月2日(2012年)に亡くなった流通ジャーナリスト金子哲雄さんが、生前に書き残した最後の著書『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』がきょう22日(2012年11月)発売された。生前に墓や通夜料理まで手配しておくという見事な人生のしまい方が話題を呼んだが、最後の著書も死の準備に役立つような「お得情報」にこだわった内容だ。同じ事務所に所属した番組コメンテーターのおおたわ史絵(内科医)が出版の内情を語った。

編集者と約束「葬式の準備や遺言書の書き方とか役立つ情報入れたい」

   亡くなる少し前の今年9月中旬、おおたわに最後のメールが届いた。「『最後の本を書いています。これを仕上げて立派な千秋楽を迎えたい』というものでした。中身について単なる闘病記にしたくないと、編集者の方との約束で決めたのが、これを読んだ人が死んでいくときにやるべきこと、たとえばお葬式の準備とか遺言書の書き方とか、そういうことがわかるようなお得な情報を必ず入れるということでした。死んでからもお得情報を伝えるのが自分の使命といっていました」

   死因は肺カルチノイドという10万人に1人といわれる珍しい病気だった。金子さんはこの病名にこだわった。死亡診断書に死因は肺カルチノイドとはっきり書くよう医師に言い残した。理由について、おおたわが明かす。

「一般的には心不全とか、呼吸不全という書かれ方がされますが、それだといったい何で亡くなったかわからない。珍しい病気の存在を多くの人に知ってもらい、同じ病気に悩んでいる人たちの次の1歩になればとの思いからでした」

妻に遺言「お世話になった地方の人々訪ねてお礼の食事会開いて欲しい」

   司会の加藤浩次「自分が死に向かっている最中でも、みんなの役に立ちたいと思っていた」

   おおたわ「本の最後に自分で用意した葬式や通夜に来て下さった方々への礼状が掲載されています。それには、僕は今でもお得情報を発信しています。お得情報が欲しくなったら、お墓の方を見てくださいと結ばれています」

   ともに病と闘ってくれた妻へ感謝するとともに、最後にお願いしたものがひとつある。感謝の全国キャラバンだそうだ。地方に住む世話になった人たちを訪ね、お礼の食事会を開いてほしいというものだ。金子さんはそのために、招待リストを作成、店を指定し予算を組み、妻の交通費の計算書まで用意していた。加藤も感心したように「ここまでできるもんですかねえ」

   いつもにこやかな笑顔で独特のしゃべり方をする人だったが、ここまで徹底していたとは。あらためてご冥福を。

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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