13年続いた石原都政はディーゼル排ガス規制や東京マラソンなどいろいろ話題にはなったが、あらためて考えるとたいしたことはやっていない。むしろ失敗した新銀行東京が記憶に残る。2004年、貸し渋り、貸しはがしに悩む中小企業向けに設立されたが、08年に巨額の不良債権が見つかり、税金400億円を投入して救済するはめになった。再建はいまだ終わっていない。
「石原都政の一番の成果は行政改革・財政再建」
きょう(2012年11月22日)の「とくダネ!」には、東京都知事選に立候補を表明している有力候補4人が揃った。猪瀬直樹副知事(66)、日本弁護士会の前会長・宇都宮健児氏(65)、元衆院議員の笹川尭氏(77)、前神奈川県知事の松沢成文氏(54)だ。
司会の小倉智昭「猪瀬さんが(石原都政で)一番評価しているのは何ですか」
猪瀬「行政改革、財政再建ですね。石原さんが都庁に来て金庫開けたら空っぽだった。それを職員を減らして給料減らして、いま1兆円近い基金をもってる。銀行も趣旨は正しかったが経営がまずかった。まだ再建途上だが、資産額は500億円を超え、店員も750人から180人に、店舗も10から1になった。退院してリハビリにまではきた」
笹川「最初のとき、やめろといった。都がやることじゃない」
松沢「世界にも例がない。数百億円失ってるんだからきちんと清算すべきだ。それが行政改革」
他候補の発言中に割って入って「話をよく聞きなさいよ」
宇都宮は石原都政は「福祉を切り捨てた」という。老人福祉予算の割合は1999年では全国で2位だったが、最近は最下位になってると例に挙げた。猪瀬が「いま東京都の福祉予算がいくらだかご存知ですか」と反撃すると、「いや、老人福祉ですよ」と宇都宮は群馬県の民間施設が焼けて死者を出したとき、入居していたのが都民で、墨田区で生活保護を受けていた話をあげた。
猪瀬「都の福祉予算は9500億円あります。総予算に占める割合は、美濃部さんの頃は7%だったが、いまは15%。群馬の事件でもプロジェクトチームをたちあげて…」と、現職の副知事の知識をとうとうと述べる。これをやられると、行政経験の有無がもろに出てしまう。
猪瀬は松沢にまで「話をよく聞きなさいよ」といった調子。都庁内でも「威張りくさっている」と陰口があるらしいが、長年ドキュメンタリーの一匹狼でやってきた猪瀬はこれがカラーだ。しかし、聞いていてあまり愉快ではない。話がさらに具体的になって、特養老人ホームや待機児童、認証保育園となると、「国との戦いですよ」と実情と構図を立て板に水だ。質問にも「事実をきちんと踏まえて発言してくださいよ」と、まるで都議会の答弁みたいになる。他人がしゃべっているのにかぶせて発言する。防災、電力対策、原発…何でもそうだ。
小倉も「副知事だからそうじゃないといいたいのはわかるが」と持て余し気味。最後に「石原都政を論ずると、猪瀬さんとしてはああなるんでしょうが、また機会があれば」と締めくくった。