鳩山由紀夫元首相(65)が21日夜(2012年11月)、地元の北海道・苫小牧市で記者会見し正式に政界引退を表明した。いささか目が潤んでいたようにも見えた。総理を辞任した際に、「次の衆院選には立候補しません」と述べた直後に撤回し、今回は選挙戦への準備中に野田首相から引導を渡された形での引退だった。
「同志たちは結党の理念を思い返していただきたい」
鳩山は地元に戻る前、民主党本部に野田を訪ねて引退を伝えるとともに次のように伝えたという。「政権交代は間違いだったのかと国民は思い始めている。政権交代は間違いではなかったと国民に信じてもらえるような行動をしてほしい」
野田は慰留することもなくわずか10分ほどで終わったという。記者会見で鳩山は残る同志にこんなことを訴えた。「私が愛した民主党。同志たちはどうか結党の理念をもう1度思い返して、弱き者、小さき者の声に耳を傾けて政治を行っていただきたい」
安倍総裁「トカゲのしっぽ切りで辞めざるを得なくなった」
民主党を結成した創業者としては無念な思いが伝わってくるが、コメンテーターの北川正恭(早大大学院教授)は「総理を辞められた時に一緒に辞めておられたら評価が高かったと思う。タイミングとして、今回はあまり評価されないと思いますね」と厳しい見方だ。
金井辰樹(東京新聞政治部次長)は、自民党の安倍総裁が「現政権がトカゲのしっぽ切りふうに辞めざるをえなくなる方向へ持っていった」と話すのを聞いて、次のような感想を持ったという。「小泉さんがやった手法と野田さんのここ1、2週間の行動が非常に似ている。テレビの前でサプライズ解散をし、身内に抵抗勢力のような人を作り、それを切るような形にしている。自民党は自分たちの何年か前の手法を取られちゃったという思いが少しあるんじゃないか」
自ら「宇宙人」と称した鳩山は、今後は「友愛東アジア平和研究所」を立ち上げ、友愛を広めるのだという。