鳩山由紀夫元首相が衆院選の出馬を断念した。直接のきっかけは、野田首相が民主党候補の公認には党の政策について全面的に賛同が条件とし、その「踏み絵」となった公認申請書には次のような文言があった。
「民主党公認候補としてふさわしくない行動を取った場合、権利、権限を返上し、それまで供与を受けた便宜の一切を弁済する」
さしあたっては、消費増税問題やTPP推進について党の方針に従うことを公認の条件とした。
TPP口実に執行部の嫌がらせ
今年6月(2012年)の消費増税法案に反対票を投じ、TPP推進にも反対している鳩山としては、節を曲げて公認を取るつもりはなく、出馬断念せざるを得なかったのだろう。司会のみのもんたは「総理大臣を辞任した際に『ボクは議員を辞める』いったが、すぐ後で撤回した。出馬断念ってホントかな~」という。
若狭勝(弁護士)「他の党からどうしても必要と言われたら、『もう一度やります』と言い出しかねない。今までの言動を見るとそう感じる」
民主党・菅政権の総務相の経験を持つ片山善博(慶応大教授)がこう語った。「野田さんをはじめとする執行部の一種の嫌がらせでしょうね。本当はTPP推進は党内で議論しなければいけないのに、中途半端のまま玉虫色で進めている。今になって一部の人だけで進め、反対するなら出て行けというのは議論で政策を吸い上げて行く政党の原理からいうとおかしいですよ。
TPPについては鳩山さんと同じ考えを持った人は多い。このままだとどんどん排除の思想で民主党は崩壊していく」
マニフェストに載せなかった消費増税で突き進んできた野田政権が、皮肉なことに公約に逆らったばかりに元代表を追い出すことになった。歌の文句じゃないが、意地も人情も浮世にや勝てぬ、燃えて散る間にすっかり野田の一人舞台に変わっていた。