薬局などで手軽に買える市販薬の副作用で、国が警告を発している。この5年間で、製薬メーカーから厚生労働省に報告された重篤状態に陥った市販薬副作用は1220件余りという。キャスターの国谷裕子は「市販薬の副作用については、社会的認知度が低いというのが現状です。なかでも、風邪薬や鎮痛剤などの副作用は危険度が高い。説明書に従って正しく服用していても、突然、副作用に襲われるという例もあります」と説明した。
解熱鎮痛剤で左目失明―手足口病と誤診
美容師だった岡村かおりさんは市販の解熱鎮痛剤の副作用で左目を失明した。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)を発症したのだ。「薬を服用して数時間後に唇が紫色に腫れ、目に違和感を感じました。翌朝、眼科に行きましたが、原因は分からず。内科の診察も受けましたが、ここでは手足口病と診断されました」と話す。4日目の朝、洗面所の鏡を覗いて岡村さんは驚いた。口の中が水疱だらけになっていたのだ。すぐに緊急救命センターに搬送されたが、この時に岡村さんを診察した東克己医師は、「目や口の粘膜に異常が見られました。皮膚のただれも全身に広がり、SJSの可能性が高いと思いました」と話す。
SJSとは薬の成分に体の免疫機能が過剰に反応して皮膚や粘膜に炎症が広がり症状で、深刻な事態に陥る。
国谷「このSJSが原因で、過去5年間で24人の方が亡くなっています。発症年齢も幼児から高齢者までと幅が広い。大きな病院でもSJSかどうかの診断が難しいアレルギーの一種です」
ゲストの望月眞弓(慶應義塾大学薬学部教授)は「アレルギーというと多くの人は花粉症を連想しますが、花粉症のアレルギーとSJSのアレルギーは違います。健康食品を食べていてもSJSを発症するケースもあります。消費者も医師も、市販薬の副作用について知っておくのが重要ですが、医師は人命を救うことを優先して、市販薬の副作用を見落とすことがあります」と説明する。