「不意打ち解散」で準備不足を突かれた第3極は混乱して、完全な大同団結とまではいかなかった。民主党は議席減覚悟の正面突破、自民党は支持率トップで政権奪還を目指す。国民にはよくわからない選挙を言葉で拾ってみると……。
「総大将」「牛若丸」褒めあってる80歳と43歳
日本維新と太陽の党が合併し、会見には報道陣400人が詰めかけた。石原慎太郎・代表は「第3極じゃない。第2極を作るんだ。(橋下に)この人は義経、牛若丸だよ。義経で終わらしちゃいかん。頼朝にしたい。(次は国政立候補?)当然ですな。殴ってでもやらせる」とご機嫌だ。その橋下徹・代表代行は「石原総大将がリーダーになった。1か月間、燃え尽きるまで戦い抜きましょう。ボクはやっぱり石原慎太郎総理を見たい」と、とにかく「団結」を演出しようと必死だ。
しかし、石原は木曜日には「減税日本」の河村たかし代表と合流を発表していた。これに橋下が「疑問」を呈し、2日後には白紙に戻った。
石原「減税日本はタイトルがよくない。ネーミングが粗雑だ」
河村「まあ、しゃあねーわな。これ、我慢せんと。大阪にはプライドというか、順番があるでしょう」「酒飲まにゃやっとれん」「みんなでいいとなれば、名前変えますよ」
消費税、原発、TPPなど政策の違いは維新が飲み込んだ。みんなの党とは選挙協力になった。
橋下「ルール、メカニズム、後はさじ加減」
民主、自民とも過半数取れなかったらチャンス
これに野田首相は「小異じゃない大事なものも捨てて、というのは野合になると思いますね」
石破茂・自民幹事長「理念、理想の違う人たちが一緒になって権力をもつと、いかにひどいことが起こるかはこの3年3か月でよくわかる」
橋下はテレビで反論した。「いま大事なのは政策を語ることではない。やることは決まっている。実行できるかどうかだ」
司会の小倉智昭「新聞は維新と太陽が合わさって両方足していくつといっているが、増えるのか減るのか微妙。大阪と東京で支持者が別れるということかな」
田崎史郎(時事通信解説委員)「大阪には東京への反発があるから、プラスなのかマイナスなのか」
小倉「橋下さんが立候補することは?」
田﨑「ゼロじゃないが、否定的。候補者も衆院の過半数立てられないでしょう。可能性があるのは、民主も自民も過半数をとれなかったとき、維新の協力をえて、維新のトップが(首相に)なる可能性はある」
小倉「政策の違いで石原さんは『原発』まで小さなことだといっているが、有権者はどうなんでしょう」
田﨑「マイナスだと思う。選挙目当ての打算が見えて、有権者は引くんじゃないですか」
夏野剛(慶応大学大学院特別招聘教授)「ちょっとづつ違いはあっても、この選挙で結果を出さないと後がないという危機感が共通している。80歳と43歳ではケンカにならない。意外とうまくいくんじゃないかという期待感がありますよね」
第3極にはもうひとつ、小沢一郎氏の「生活」や鈴木宗男氏の「新党大地」などがある。政党は全部で15。まだ増えるかもしれない。これじゃますますわからん。