都知事選「猪瀬直樹楽勝ムード」に待ったかける宇都宮健児の信頼感
総選挙も気になるが、都民としてはポスト石原がどうなるのかに関心がある。石原が後継指名した猪瀬直樹副知事に松沢成文前神奈川県知事、宇都宮健児日本弁護士連合会前会長も出馬表明し、東国原英夫前宮崎県知事もギリギリで出るのではないかといわれている。
争点は長きにわたった石原都政をどう評価するのかということになろう。「週刊現代」によれば、石原辞任直後に自民党東京都連が電話で3000人の緊急調査をしたそうである。猪瀬副知事がダントツトップで約50%の支持を得て、2位の東国原前宮崎県知事が約10%、次いでキャスターの安藤優子、小池百合子元環境相だったと全国紙の政治部記者が語っている。
現代も各界50人の著名人に「誰が都知事にふさわしいか」をアンケートしている。最も支持を集めたのはやはり猪瀬副知事で14票。2位には舛添参議院議員と宇都宮弁護士で7票。東国原前知事は1票しかなかったという。猪瀬副知事の支持理由は、実務経験、行政への理解度、問題意識の高さだそうである。注目は、石原都政を評価したのは16人で、6割近くが批判的。その人たちは宇都宮を支持しているという点だろう。
自民党は猪瀬支持。自民党都連もほかに候補を見つけられないからと消極的支持に回るらしいから、いまのままなら猪瀬対宇都宮という構図になるのではないか。猪瀬楽勝ムードと見る向きが多いようだが、石原都政の負の遺産も数多くある。今回は出馬を見送った舛添参議院議員のインタビューは傾聴に値する。
「石原都政というのは、一言で言えば、常に仮想敵を作り、『敵と戦う正義の味方』の面をする典型的なポピュリズム政治でした。例えば、銀行を敵にして外形標準課税を導入し、分が悪くなると新銀行東京を創設しました。ところが1500億円もの損失を出しても、まったく責任を取ろうとしない。
私が厚労相を務めていた時代には、都の社会保障を『税金の無駄遣い』と一刀両断して大幅カットし、社会保障の現場を大混乱に陥れた。私は個人的にも母親を介護した経験がありますが、単純な利害得失で図れないのが社会保障というものです。それなのに石原都知事は、弱者の視点に立つということができない政治家でした。そして最後は『悪の中国』という世論を喚起し、都の経済をメチャクチャにした。それにまんまと煽られた野田政権も問題ですが、問題の発端は石原前都知事です」
12月16日投票は衆議院選と同日になるから、脱原発、消費増税、日中関係が争点になれば、意外な猪瀬苦戦もありうるのではないだろうか。