外科手術で治療する糖尿病―米国では「もう薬はいらない時代になった」

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   今週は全国糖尿病週間だ。現在、予備軍も含めて糖尿病患者数は国民の5人に1人の2200万人に上るとされている。キャスターの国谷裕子は糖尿病の治療が大きく変わってきていると伝えた。「糖尿病はそのまま放置すれば、失明や足の壊疽、腎不全など深刻な合併症を伴い、死にいたることもありました。これまで治療法としては、薬物療法、食事療法、運動療法が中心でしたが、血糖値のコントロールが難しく、高度肥満を伴う患者さんには薬が効きにくい現実があり、次第に悪化していく患者も少なくありませんでした。しかし、欧米では新たな治療法が開発されて注目を集めています」

胃を切って小さくして小腸も1メートル短縮

   この手術はバイパス手術と呼ばれるもので、重い糖尿病患者の胃を切って小さくし、小腸も1メートル前後切除して短くしてから繋ぐという方法だ。

   国谷「アメリカでは8割の患者の血糖値がこの手術治療法で正常に戻りました。今年(2012年)3月のアメリカの医学雑誌で、もう薬を使う必要がなくなったと発表されています。日本でもこの手術治療法は2年前から導入されています」

   ただ、この手術療法が誰にも有効というわけではないし、手術は健康保険の対象外の自由診療だ。術後に異変が起こるケースもある。手術を受けた60代男性は「手術後に食べ物の嗜好が変わりました。手術前までは蕎麦やパスタが好きだったが、手術後はまったく食べられなくなってしまった。食事の量も半分となり、水分や食事を飲み下しにくくなった。ひと口水を飲むのに、1分近くかかります。医師からは脱水症状を避けるために1日に2リットルの水分を取るようにと指導されていますが、そんなに多量の水は飲めません」と話した。

   また、中年女性も「手術後に胸が焼けるぐらいの胸焼けを何度も経験しました。病院で診てもらったら、逆流性食道炎と診断されました」と語る。

患者の選択肢を拡げる糖尿病治療

   国谷「こうした手術後の体調や体の異変は人によって違うようです。こうした体の変化は防げるのでしょうか」

   糖尿病学会の門脇孝理事長はこう説明する。「これまで糖尿病治療は内科が中心でした。そこに外科手術という新しい治療法が加わりました。内科と外科が連絡を取り合い、総合的な治療体制を作ることが必要だと思います」

   国谷「今後の新しい治療方法はさらに広がる見通しなのでしょうか」

   門脇理事長「新しいインスリンや新薬などが出てくるでしょう。患者さんの希望に添った治療方法に何を選ぶか。医師にも勉強が必要です。体重を2キロから3キロ減らしただけで糖尿病悪化の7割近くが防げます。しっかりとした体重管理が大切です」

   この外科治療法だが、胃と腸を小さくして食べる量を減らすということだけのようにも見える。

ナオジン

NHKクローズアップ現代(2012年11月12日放送「糖尿病を手術で治す」)

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