ゴルフ・太平洋マスターズ(御殿場)最終日、首位でスタートした石川遼は一時は2位に4打差をつけたのが、連続ボギーで1打差となった18番、池越えのロングを果敢にツーオンしてバーディーを奪った。これでツアー10勝目を達成した。21歳1か月と24日は最年少記録だが、優勝は2年ぶりだ。アマ時代の15歳で初優勝してからトントンと9勝をあげた天才も、厳しかったこの2年を思って涙をこらえられなかった。
自分のゴルフに迷い「練習したら本当にうまくなるんだろうかと思いました」
表彰インタビューで石川は「きょうもダメかがなんて思ってる自分がいて、優勝の味というか、感触を忘れてましたんで」という。「辛かったですか」と聞かれ、「聞かないでください。全然つらくなかったですね」と笑った。「すごく嬉しいんですけど、実感がないし」
スポーツ紙1面にも久しぶりに石川の写真が載ったが、これまでの成績を並べたところもあった。 過去30試合でみると、10位以内が10回、予選落ちが8回と波が大きい。2位が3回 あるが、ファンは満足しない。2日目、3日目にいい位置につけたことも多かった。トップに立ったこともあった。新聞は「優勝か」と書いたが、ほとんど自滅していった。このところはベテランの安定したゴルフが目立ったが、外国勢に負けるのも悔しい。やっぱりスターが欲しかった。
司会の小倉智昭「彼が勝ったことを知ってからビデオで見ましたけど、インタビュー見て、こっちも泣きました。1度も勝てずに終わる選手だって多いなかで、彼はボンボンと9勝して、2年空いたわけでしょう。辛かったと思いますよ」
石川は「練習したら本当にうまくなるんだろうかと思いましたね。(長い間をおいて)練習してうまくなって、勝てたのかなと思います。2年は長かった」 と話している。
小倉、「これからトントンといくのかどうか。同い年の松山英樹君(アマ)もいいゴルフしてましたし、これからプロゴルフ界は面白くなると思います」
ゴルフに限らない。勝てる選手には実力ではない何かがある。この2年の試練がどう出るか。みんなそれを見たがっている。