うっぷんのはけ口にされる日本。習体制で反日政策・デモ激化
胡錦涛は「調和のとれた社会」を標榜した。江沢民時代の成長一辺倒で広がった格差を正すはずだったが、この10年で格差はさらに広がってし まった。国分氏は「巨大な党に問題がある」という。党員は8200万人。かつては労働者と農民が大部分だったが、党幹部の天下りでいまは1925万人 (23・3%)が企業人だ。彼らは既得権益を手放そうとしない。資産を増やし税金も払わなかったり…。「政治と経済が癒着しているから汚職が生まれ、みなそれを知っている。成長が鈍化すると不満になる」(国分氏)
9月の反日デモでは毛沢東の肖像をかかげた人が目立った。毛の死後、改革・開放政策で中国は飛躍したが、一方で貧富の格差は広がった。 貧しい人たちの間で毛時代への共感が広がっているのだ。
これを大々的に推進したのが、この春まで重慶のトップだった薄煕来だ。当時の革命歌を奨励し、「共産主義の理想を思い出そう」とぶった。ある意味で中央への挑戦だったが、個人スキャンダルで失脚し党籍も剥奪された。しかし、低所得者に手厚かった施策で、薄の人気はなお高い。北京航空航天大学の韓徳強・副教授は「ひずみを正すには毛の思想が必要だ。平等を実現し、貧しい人の不満を解消しない限り、共産党に未来はない」とまで言い切る。韓氏のサイトは政府によって閉鎖されてしまった。
国分氏は懐疑的だ。「昔の社会主義に戻れるのか。成長できたのは改革・開放のお陰で、それで世界に出てきた。逆行はできまい」
では、習近平なら乗り切れるのか。国分氏は「テレビ映像を見てびっくりした。胡錦涛氏の隣に江沢民氏がいた。中国の人もびっくりしたのではないか。体制は変えられないということです」という。つまりは内政の不満を外へぶつけてくるということか。日本は格好の標的だ。この日も、尖閣諸島の接続水域では中国の公船が何隻も白波を蹴立てていた。まったく迷惑な話である。
ヤンヤン