男が無抵抗のタクシー運転手を一方的に罵倒する、小突き回す、殴るという暴行の一部始終が、先週ネットの動画サイトYouTubeに載った。これを手がかりに6日(2012年11月)、青森の飲食店経営者(38)が傷害容疑で逮捕されたが、そもそもそんな映像を撮ってネットに載せるとはどういうことなのか。
「暴行・傷害」放置した撮影者は共犯じゃないのか
キッカケは飲食店に呼ばれたタクシー運転手が泥酔した女性を乗せるのを拒んだためらしいが、そんなことはどうでもいい。撮影者は騒動をはじめから撮影しただけでなく、途中で止めに入った人にも「いいから、いいから、やらせればいい」と押しとどめて暴行を続けさせていた。撮影していたのはこの店の元従業員で、たまたま現場に居合わせたというが、さらにその動画をネットで公開していた。「面白半分」といっているという。
たしかに、ネットには面白映像があふれている。ペットや子ども、好プレー・珍プレーの類いなら他愛もないが、こうした犯罪を傍観してはやし立てるとなると話は別。目の前で人が殺されても、警察に通報もせず撮るのだろうか。
物議をかもす映像をよくみかけるようになった。2年前、三重・松阪のグループホームの介護士(19)が、入所者を「禿げとる」などと撮影した映像は、「虐待だ」と問題になった。今年3月には姫路市で自転車の中学生を車で追い回す映像があった。7月には兵庫・赤穂市で中学3年生ら5人が、小学6年生を殴ったり蹴ったりするシーンがあった。「これはおもれぇ、動画になりそうや」という 声も入っていた。警察の調べに、少年らは「多くの人に見てもらうため」と答えた。「おもれぇ」とは、サイトでの閲覧回数があがりそうな、という意味だった。