指導者が大幅交代となる中国の「第18回共産党大会」が8日(2012年11月9日)から北京人民大会堂で開かれている。胡錦濤体制から習近平体制への移行は決まったものの、指導部人事で暗闘が続いている。
10月開催予定が1か月も遅れるなど異例ずくめ大会を北京支局の井上洋一支局長が伝えた。
党幹部・官僚への不満爆発恐い
人民大会堂周辺の厳戒態勢ぶりも異例だ。警察官が多数配備され、治安維持部隊として一般市民140万人が動員されて要所で目を光らせる。井上によると「おカネで雇われている」のだという。
市内デパートの刃物売り場では、数日前から包丁やナイフが撤去されて販売できず、タクシーは天安門付近を走るときは窓を閉めるように通達されている。車内からのビラまきをさせないためだ。
司会のみのもんた「何でそんなに心配しなきゃいけないの」
井上「官僚の腐敗や地域格差、所得格差いろいろあって、そうした不満が政府・党に向くのを防止する狙いがあります」
江沢民8000億円、温家宝2000億円、少ない習近平でも300億円
その官僚の腐敗ぶりについて、井上貴博アナが「ミノがしません!けさ単!」コーナーで、これまで報道された中国指導者層のケタはずれた蓄財ぶりをまとめて伝えた。
ニューヨークタイムズによると、苦学して首相に登り詰め、大衆派と思われている温家宝一家の資産は2000億円。妻は「宝石の女帝」と呼ばれているという。前国家主席の江沢民一家も孫が8000億円の資金を投じて投資ファンドを設立した。間もなく国家主席となる習近平一家も姉夫婦が不動産を中心に300億円を蓄財、さらに香港で次々不動産を購入しているというから驚く。
中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏は、「皆が不正しているので更迭できない。共産党と企業の共犯関係にはメスの入れようがない」という。こんな状態だと「汚職文化排斥大革命」が起きてもおかしくない。
そんななかで江沢民派と胡錦濤派の暗闘が続いており、9人から7人に減員されることになっている最高指導部の政治局常務委員のポストも、まだ完全にはまとまっていないありさまという。
与良正男(毎日新聞論説委員)「江沢民派が巻き返しているような印象があるが…」
井上「7人になるといわれる常務委員が何対何なるかが一つのポイントでしょう。もう一つは、中央軍事委員会主席に胡錦濤が引き続き就任するか、習近平に譲るかも重要なポイントになります」
対日政策では強硬派と言われる習近平体制が決まるのは15日だ。