「加藤さん、1時間に100通のメールです」
リポーターの阿部祐二が驚いたように司会の加藤浩次に報告する。元交際相手の女性を殺害して自殺したとみられる男は、約2週間に1089通のメールを送りつけていた。電話やファクスだとストーカー行為として規制を受けるが、メールは対象外だった。
元高校教師40歳「脅迫容疑で逮捕され執行猶予中」
おととい6日(2012年11月)、神奈川県逗子市でデザイナーの三好梨絵さん(33)が自宅で刺殺され、元高校教師の小堤英統容疑者(40)がベランダで首をつって死亡していた。逗子署は小堤が三好さんを殺害し自殺したとみている。
小堤は2004年、バドミントンを通して三好さんと知り合い交際を始めたが、翌年には別れた。2010年4月に三好さんが結婚したことを知り、脅迫めいたメールを送るようになる。メールの内容は次第にエスカレートし、昨年4月には「ぜってー殺す。刺し殺す」などと記したメールが1日80~100件届くようになった。
三好さんは警察に相談し、小堤は脅迫容疑で逮捕されて懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けた。しかし、今年3月ごろ再び大量のメールが届くようになった。今度は「婚約不履行」「結婚を約束したのに、ほかの男と結婚した」「慰謝料を払え」といった内容だった。
メールはストーカー規制法の対象外―犯行直前にいったん止む落とし穴
こうしたメールを止めることはできなかったのか。弁護士の若狭勝は「慰謝料を払えというだけだと、直ちに脅迫にはなりにくいですね。相手に対して危害を加えるようなニュアンスの言葉が伴っていないと、脅迫罪で検挙するのは難しい」という。
また、ストーカー規制法は無言電話、連続した電話、ファクスを対象としていて、拒まれているのに連続してかけ続けたり送り続けたりすることは禁じているが、メールについては明確な規定がない。
司会の加藤浩次「ストーカー規制法は2000年に施行されたもの。今の時代、メールを入れてもいいのでは」
弁護士の本村健太郎は「立法論として、もちろん入れてもいいと思います。ただ、ストーカーにはつきまとい、見張り、面会要求などの行為もあります。メールだけではなく、何かほかにもやっている場合が多いので、それなりの対応ができるはずです」という。
加藤「ストーカーの事件はいつも起きてから問題になる。起きる前に対処する方法はないのですかね」
三好さんは4月中頃にメールが止まり、警察に「静観したい」と申し出ていたというが、阿部によると、ストーカー事件の多くは事件の直前はいったん収まり、もう大丈夫と思った矢先に起きるケースが多いという。