けさ7日(2012年11月)もまたひとつ、日本における芳しくない商売の御案内です。一時もてはやされた「命名権ビジネス」だ。地方自治体などが保有する公共施設の命名権を企業に売れば、自治体にはお金が、企業は宣伝効果が手に入ってウィン・ウィン――のはずが、昨今は売れ行きが芳しくなく、各地で売れない命名権が続々と発生しているらしいのだ。
栃木県・宇都宮市は30%引きバーゲン
命名権ビジネスに詳しいという川上和久明治学院大学教授は「命名権ビジネスは曲がり角に来ていて、自治体に大きな金額が入ることはなくなってきている」と言う。市名も含めて売却することで物議をかもした大阪の泉佐野市は、今月から募集をはじめたところ、1週間ほどの間に応募はゼロ。締め切りは今月末という。
栃木県・宇都宮市は県内10施設を売りに出しているが、契約が成立したのは1件のみ。とうとう、売り出し価格を30%も下げる「バーゲン」を行った上に、売り出し価格を下回る金額でも応募できることにした。企業回りの営業もかけているが、このセールにも客は食いつかず応募はゼロだそうな。
さても気になるお値段を見ると、栃木県総合文化センター4000万円、栃木県グリーンスタジアム2000万円、栃木県子ども総合科学館1800万円、県立温水プール館200万円(いずれも1年間のお値段)ということだ。
コメンテイターからは「年間とすると高いですよね」(作家・立花胡桃)、「値段が高すぎたのではないか。お役所商法、武士の商法という感じが否めない」(萩谷順・法政大教授)などとさらなるディスカウントを求める声が上がった。