東電幹部「このままでは原発作業に精通している人材いなくなる」
国谷「なぜ作業員の待遇が悪化しているのですか」
野津原「これまでは原発作業を直接受注する元請けと、その下に第1次下請け、第2次下請けとなっていました。これで何とか作業員の人材が確保されていましたが、この構造が崩れつつあります」
ある元請け企業幹部は「事故後、東電は競争入札を導入して厳しいコスト削減を求めてきた。うちの場合は3割の経費削減が行われ、スタッフの給料を減らさざるを得なかった」という。東電の幹部は「このままでは原発作業に精通している人材がいなくなる。若い人材を確保して教育し、一人前の作業員に育て上げればならないが、状況は厳しい」という。
国谷が「危険な作業と待遇の悪化、この連鎖を断ち切る方法はありませんか」とゲストの中央大学法科大学院・安念潤司教授に聞く。「まず危険を顧みず作業に当たってくれている作業員に感謝の気持ちを忘れてはいけません。作業員の賃金を確保することが重要ですが、そのためには電気料金の再値上げか税金の投入かの2つしかありません。電力会社も資産の売却や経費の削減に取り組む必要があり、何よりも国が原発を今後どうするかを早急に決めることが重要です」
原発を廃炉にするための作業員すら確保が難しくなっているのに、さらに新設・再稼働をすすめようという政府、自民党は、本気でそれが可能だと考えているのだろうか。
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2012年11月5日放送「原発作業員が去っていく 福島第一原発『廃炉』の現実」)