田中眞紀子文科相が大学設置・学校法人審議会が認可を答申した3大学の新設を、一転して不認可にした。審議会の答申を覆すのは異例だ。田中が「大学乱立は質の低下をもたらしている」というのは確かに正論だが、大学側に落ち度はない。「さっそくやったな」という声もある。この問題ひと波乱ありそうだ。
「目指していたものがいきなり消えてしまった」志望受験生
申請していたのは、秋田公立美術大学(短大から4年制に移行)、札幌保健医療大学(専門学校から4年制に移行)、岡崎女子大学(短大に4年制を併設)の3大学。審議会が認可の答申をしたのは1日(2012年11月)である。田中は翌2日に不認可とした。
「短大を廃止して4年制を新設したいということなので、残念ながら認可するわけにはいきません」と言ったきり個々の大学の評価には触れなかった。その理由を「少子化もあるが、量よりも質。大学教育の質自体がかなり低下してきている。なんで4年制にしたいのか。地域性もあると思います。ニーズがあるかどうか」と言い、田中はむしろ審議会の委員の構成に疑問を投げていた。
田中がいう大学の問題は確かにある。その限りでは問題提起には違いないが、審議会と相談しながら手続きを進め、校舎の建築・改修なども行い、入学予定者の確保までしていた大学としては黙っているわけにはいかない。秋田公立美術大はきのう(4日)、予定していた志望者への説明会を中止にした。訪れた学生、父兄は「ショックです」「この時期になぜ」という。秋田市は5億2000万円をかけて校舎を建設中だ。樋田豊次郎・短大学長は「まず怒り。そのひとことです。乱暴すぎる」という。
デザイナーを目指す函館市の高校生、瀧鈴香さん(18)は、「え、ウソ?でした」という。すでに2度説明会に参加し、試験内容に合わせた受験勉強もしてきた。「北海道、東北では国公立の美大が少ないから選んだ。これからどうしよう」。在学生でも4年制への編入で勉強を続け、教員や学芸員を目指す学生もいた。不認可となれば卒業せざるを得なくなる。「目指していたものがいきなり消えてしまった。(田中大臣に)人生が狂う人もいることを頭にいれてほしい」
懸念されてた「野田改造内閣2人の田中」法相は辞任、真紀子は…
田中の大臣起用には懸念の声があった。先に辞任した田中慶秋法相と並んで「ダブル田中」といわれた。かつて、小泉内閣で人気はあったがいろいろ物議をかもしたことをだれもが覚えている。函館の受験生の父親は、かつての田中の言辞をひいて、「大臣はいま、私の娘のスカートを踏んでいる」という。当の田中は「規制ではありません。イノベーションです」というのだが…。
司会の小倉智昭「イノベーションの本当の意味がわかってるのか。札幌や秋田に行って調査もしてない。審議会と大学が準備してきたのを、なんでこのおばさんはひっくり返したの」
田崎史郎(時事通信解説委員)「あ、やっちゃったなという感じ」
鈴木尚(PTP会長)「私もやっちゃったなと思った。選挙が近いんでパフォーマンスをしたなと。即刻解任したら民主党の支持率は上がるんじゃないか」
田﨑「民主党の支持率にはマイナスでしょうね。大学は悪い事はしてないから、行政訴訟を起こされたら政府が負ける可能性がある」
小倉「工事だって進んでるんだから」
リポートした田中良幸は「今週にも大臣に撤回を求めるといっています」
秋田出身の小倉が「秋田は国際大学で大成功をおさめている。美大だって貴重ですよ。やみくもに不認可というのはどう見ても偏見でしょ」
小倉が端から怒っていたわけがよくわかった。