万里の長城で日本人が死亡・不明という時ならぬニュースが飛び込んできた。万里の長城は観光客であふれ返るイメージで、この時期はまだ穏やかな気候のはずが、なんと大雪となり、ところによっては人の背丈の積雪になったという。救遭難した場所は、いわゆる観光スポットの八達嶺から20キロほど離れた標高2000メートルの瑞雲観へ向かうところで、出作業は難航しているという。
観光スポットから20キロ離れて登山中
遭難した日本人旅行者は男女4人グループで59歳から76歳という熟年登山だった。河北省懐来県の広報によると、4人は3日朝(2012年11月)から登山したが、夜11時に中国人1人が下山して遭難を知らせた。これまでに、59歳の女性が救助されたが、68歳と62歳の女性が死亡、76歳の男性が行方不明という。
北京の11月の平均降雨量はわずか9.8ミリ。夕立1回分くらいの雨量だ。本来はからりとしたいい気候なのだが、3日の雨が4日になって雪になった。北京市内でも5センチ、 郊外では30~50センチの積雪があった。氷点下20度にもなった。道路も凍りついて車は走れず、懐来県は軍の装甲車4台を出して救助の人員を送り込んだ。日本の取材陣も生存者が収容された病院まで行けないありさまだ。
北京のジャーナリスト周来友さんによると、「珍しい52年ぶりの大雪で、予報は出ていたから、なぜ登ったのか」という。瑞雲観はいわば長城の残骸エリアで、歴史に興味のある人とか登山家とか、よほどでないと訪れる人はまれだという。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト