外内島キュウリと焼きカレイ、宝谷カブの薄焼きピザ……
独自の料理法で在来作物に光を当てているのが「山形イタリアン」を提唱し、予約が取りにくいレストランとしても有名な「アル・ケッチャーノ」の奥田政行シェフだ。限られた食べ方しか知られていなかったクセや苦味の強い在来作物を、味・食感・香りをフルに生かして斬新な料理に仕立て上げる。漬物として活用されていた外内島(とのじま)キュウリは、焼いたカレイと合わせて魚料理に、宝谷カブは薄焼きピザに変身する。食べた途端に人々は顔をほころばせる。
昔ながらの野菜を現代によみがえらせる―ひとことで言えばそんなテーマの映画だが、奥田シェフのような創意工夫に満ちた料理人の登場によってドキュメンタリーに奥行きが生まれている。なによりも出てくる料理がすべておいしそうなこと!シェフのレシピによって在来作物が生き生きとよみがえらせることで、土や種と共に生きてきた人間のあり方もらよみがえらせよう…そんなメッセージが読み取れる。(渋谷「ユーロスペース」で公開中。全国上映予定)
バード
おススメ度:☆☆☆☆