今月20日(2012年10月)、東京メトロ丸ノ内線の本郷3丁目駅で、停車中の電車内で乗客の持っていたアルミ缶が破裂して近くにいた人16人がけがをする事故が起きた。油落としの洗剤をコーヒーのアルミ缶に移し替えて自宅に持って帰る途中だった。「アルカリ性液体洗剤がアルミ缶と化学反応を起こして破裂しました。こういう化学反応での危険は家庭の洗剤などにも潜んでいます」(松田利仁亜アナ)という。
シンクの黒ずみ・水アカ取り―お酢と塩素系洗剤危ない
厚生労働省がまとめた「家庭用品等に係わる健康被害病院モニター報告」に、家庭で起きた「ガス発生事故」の事例が並んでいる。
(1)浴室掃除でタイル床に塩素系カビ取り用洗剤をスプレーで吹きつけ、次に鏡や窓のガラス磨きで酸性洗浄剤を吹き付けたところ、酸性洗浄剤が塩素系洗剤に混じって有毒ガスが発生。使用した女性は体調がわるくなった。
(2)トイレ掃除で塩素系洗剤を便器に入れ、その後にトイレ用酸性洗剤を入れたため有毒ガスが発生し、それを吸った女性は咳込み、手足のシビレから呼吸困難になり救急車で搬送された。
松田「カビ取りや漂白剤など塩素系洗剤とトイレ用の酸性タイプを一緒に使用すると、有毒ガスが発生します。自分が使う洗剤の成分が酸性か塩素系かを知って下さい。洗剤のボトルには必ず注意書きで何と混ぜたら危険かが書かれています」
台所や洗面所などの黒ずみや水アカには酢が効果的だが、酢の成分は酢酸なので塩素系洗剤と混ぜた使用は危険になる。
台所の救世主の重曹はどうか。横浜国立大学大学院大矢勝教授が説明する。「重曹と塩素系が混じるとアルカリ性が弱まります。そのため洗浄力が弱くなり落ちにくくなります。また、重曹と酸性タイプの場合は二酸化炭素が発生して、その勢いで液体が飛び散る可能性があります。いずれも混ぜない方が安全です」
(磯G)