3歳児殺害の山口芳寛に無期懲役「死刑でなかったが、娘には重い刑と報告」(被害者両親)

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   熊本市のスーパーで清水心ちゃん(当時3歳)が殺害された事件で殺人、強制わいせつ致死などに問われた元大学生・山口芳寛被告(21)の裁判員裁判の判決は、求刑通り無期懲役だった。きのう29日(2012年10月)、熊本地裁であり、極刑を望んでいた両親は「山口被告が死んでも娘は戻らない。娘の苦しんだ気持ちを思いながら後悔と苦悩の気持ちを持ち続けてほしい」と複雑な心境を語った。

判決文「絶望的な状況の中で感じたであろう(心ちゃんの)恐怖感は筆舌に尽くしがたい」

   争点となった殺意について、山口は「肩を押さえていた手がずれて結果的に首を押さえる形になった」と否定していたが、判決は「幼児の首を数分にわたり力を入れて絞め続ければ、死亡させる危険性が高いことは明らか」として殺意を認定した。

   そして、「なぜ自分がこのような事態に遭遇しているのか理解できずに、すぐ近くにいる父親にも助けを求めることができない。絶望的な状況の中で感じたであろう恐怖感は筆舌に尽くしがたいものがある。被害者の両親は法廷においてもその深い悲しみを述べている」と量刑の理由を述べた。

   父親の誠一郎さん(41)は涙をこらえきれず、1度大きくうなずいたが、机に腕をつきしばらく動くことができなかった。判決後、「死のうと思ったことも何回もありましたが、家族で乗り越え、裁判に臨んできました。被告をこの世に残す形になりましたが、みんなで頑張った結果がこういう形だったので、娘に頑張ったよと言葉をかけたい」と話した。母親の真夕さん(31)は「死刑であればよかったのかもしれませんが、無期懲役という重い刑が出ましたので、重い刑が出たと報告することができます」と語った。

被害者参加制度「どんなに辛くても娘はなぜ殺されたのか知りたい」

   裁判を傍聴してきたリポーターの阿部祐二は、「極刑にはならず、無期懲役に落胆しながらも、心ちゃんにせめてもの、最低限の報告はできるということだったのだろう」と胸中をはかる。

   両親は2008年に始まった被害者参加制度によって裁判に参加、法廷で被害者側の思いを述べた。阿部は今回の裁判はそのことが注目されたとみているが、法廷で犯行の詳細を聞くことはつらいことでもある。

   司会の加藤浩次「この制度は、聞きたくないことも全部聞かなければいけないんですよね」

   阿部「父親の誠一郎さんは公判でも、遺体が破棄された用水路に行ってからの山口の行為を聞いたときに心臓が止まりそうになり、救急車で運ばれました。そんなことが起こり得るのです。でも、娘の最後の瞬間を知っているのは被告だけ、だから勇気を出して裁判に臨まねばと語っていました。この制度には賛否両論ありますが、よく頑張って参加したなと思いました」

   ロバート・キャンベル(東大教授)は「つらかったと思う。しかし、判決後の会見を聞くと、命の大切さがよくわかる。ご両親には気の毒だったと思うが、これからの犯罪の抑止力になるとおもいます」と制度を評価する。

   テリー伊藤は別の観点から感想を述べた。「心ちゃんはあんな残酷な殺され方をしても無期懲役。無期といっても実際に何年いるかわからない。知らないうちに出てきている可能性もある。そういう状況に置かれていると思うとやるせないと思う。終身刑みたいな形で死ぬまで反省してほしいと思うんじゃないですかねえ」

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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