「シェールオイル」が変える世界パワーバランス―中東・ロシア凋落、アメリカいよいよ一人勝ち

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   アメリカ・ノースダコタ州ウイリストンはいまシェール革命の町だ。ある男性は90本の井戸を掘ってほとんどで石油を掘りあてた。「数か月で3000万ドル投資したが元を取る。掘れば掘るほど儲かるんだ」という。全国から人が集まり、掘削作業員は「年収は15万ドル。最高だよ」という。

地下数千メートルの岩盤層からオイル・ガス吸い上げ「米国には100年分ある」とオバマ大統領

   地下深くのシェール(けつ岩)層に含まれるオイル・ガスは、かつては採取不能だったが、新技術がそれを可能にした。先端にセンサーのついたドリルで垂直に数千メートル掘り下げ、シェール層に達したら水平に進んで高圧の水を噴射して岩盤を砕き(水圧破砕)、化学物質を注入してオイル・ガスを吸いあげる。

   あと数十年で枯渇がいわれる石油・天然ガスは化石燃料全体の2%にすぎない。シェール層の埋蔵量はその40倍、数百年はもつという。最先端をいくアメリカは大量輸入国から輸出国になるのは確実だ。オバマ大統領は「アメリカには100年分がある。輸入量を半分にでき、60万人の雇用を生む」と力を入れる。

   当然ながら価格も下がる。中東への依存度も下がり、国家間のパワーバランスが変わる。ロシアは国家予算の52%が石油・ガスの輸出だ。シェールガスで天然ガス世界一の座を滑り落ちた。アナリストは「凋落は避けられない」という。中東は「アメリカを失っても困らない。中国やインドへ売ればいいだけだ」と強気だが、中東と中国の関係が深まると、日本の安全保障にも影響する。

   日本エネルギー経済研究所の田中伸男・顧問は「すでに、アメリカではホルムズ海峡を空母まで出して守る必要があるのかという声も出ている」という。アメリカの中東へのコミットの度合いが変れば、世界の安全保障地図が変わる。「日本は中東との関わりを中国と競い合う一方で、 依存度を減らしていく必要にも迫られる」と田中顧問は話す。

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