石原慎太郎・東京都知事がきのう25日(2012年10月)、 突然辞職を発表した。その観測はすでにあったため、都庁7階の会見場にはテレビカメラ32台、記者およそ250人 近くが詰めかけたが、まさかその場で「辞表」を取り出すとは予想していなかった。
石原は記者の数に驚き、そして嬉しそうな顔になった。冒頭、「諸般の事情に鑑みて、きょうをもって東京都知事を辞職するとことにいたしました」と議長あての辞表を見せ、「これからもう1回国政に復帰しようと思ってます。新党をつくって仲間と一緒に」と理由を明かした。
「性根を据えて中央の役人と闘わないとこの国はあり地獄に沈んで窒息死」
4期、13年8か月を振り返って、「東京のためだけでなく、日本のためになることをやってこようと思いましたが、国と関わりのある行政ではほとんど国の妨害にあって、非常に苦しい思いをした」として、矛先を官僚に向けた。ここからが石原節だ。「日本の財政はピンチにあるが、まだ余力がある。ただ、それを引き出していない、使えない。中央官僚は把握していながら隠している。中央官僚の一番の欠点は発想力がないことだ。だから、自分で判断して解決しようとしない」
「例えば」として次々に例を挙げた。「文科省のゆとり教育で子どもたちの学力が落ちた。この過ちを公式に取り消しましたか」「厚生省。都会で保育所作ろうと思ったら、国の規格ではとてもできない。土地の値段の特殊性がある。が、国がやらないでだれがやるんですか」「それから、代議士の頃から取り組んでる横田基地の問題。何ていたっけ…前原? あれが外務大臣のときに日米で毎年やってる横田シンポジウムに、前原は『一地方の行事に国が関与する必要はない』といった。お前はバカか。 いきさつも知らずにエラそうなことをいって、貴様どこの大臣だ」
そして、「性根を据えて中央の役人と闘っていかないと、この国はズルズルあり地獄に沈んで、そのうちに窒息して死にますな」「明治以来の官僚制度をもう1回シャッフルしなかったら国民が報いられない」「ということでね、私も命あるうちに最後のご奉公をしようと思った」と方向性は鮮明だ。