仮想空間であるインターネットのフェイスブックやツイッターなどの利用者が5000万人を突破した。それにともなって、ネット上のコミュニケーションにのめり込んで仕事や生活に支障をきたす「つながり依存症」に陥る人も増えている。なぜ「つながり」が依存になるのか。
フェイスブックに夢中の主婦、高熱の息子放置して死亡
最近、ローマ法王は「もっと自分のことを客観的に冷静に見つめ直して欲しい」というメッセージを発した。キャスターの森本健成はこう伝える。「スマートフォンやタブレットなどのソーシャルメディアが発達しているアメリカでは、大学の授業中や通勤の往復で、情報端末器を片時も離さない人が増えています。日本でもフェイスブックに夢中になった主婦が、高熱を出していた1歳の息子を放置し死なせるという事件が起きています」
国立久里浜医療センターは薬物と同様の依存性に注目して、専門の外来を開設し治療法の開発に着手した。諏訪東京理科大学の篠原教授(脳科学者)は「ネットを通じてそれまで見ず知らずの人に出会えると、脳からドーパミンが出て快感に感じます。これを何回か繰り返していくと、つながり依存症になります」と説明する。
韓国では「依存離脱」のため学校がスマホに触れさせない合宿
ゲストの津田大介氏(ジャーナリスト)は「韓国ではカカオトークと呼ばれるネット依存症の低年齢化が進んでいます。夜から朝までスマホを操作して、結果、成績が下がるという現象です。学校側は生徒たちに合宿を行い、できるだけスマホに触れさせないようにしています」と話す。カカオトークとはログインなしに無料で楽しめるショットメールのことだ。
パソコン依存に陥っていたベンチャー企業社長の只石昌幸さんはこんな話をする。「以前はパソコンを1日1000回近く操作していました。でも、今はパソコンに触れるのは1日20分と決めている。パソコンに触れなくても普通の生活ができるようになったのです」
津田「今の社会は情報の油まみれになっている状態。どの情報が必要で、どれがいらないのかを判断できない。そこの判断基準を自分でしっかり持たないと、情報の渦にのみ込まれてしまいます。また、ソーシャルメディアがなくても生活できる方法を考えてみることも大切です」
ナオジン
*NHKクローズアップ現代(2012年10月22日放送「『つながり』から抜け出せない~広がるネットコミュニケーション依存~」)