舞台は1849年のアメリカ・ボルチモア。推理作家エドガー・アラン・ポーの小説を模倣した猟奇殺人事件が起こる。ポー自身も容疑者とされるが、彼の小説を真似た事件は続く。やがてポーは捜査に加わることになり、犯人はポーに謎解きを仕掛けてくるのだった。
著作読んでないと付いていけない「玄人向け」ちょっと残念
エドガー・アラン・ポーを余りよく知らない筆者のような予備知識のない者がこの作品を観る際は、ある程度の覚悟が必要である。著作を1作も読んだことがないと理解できないシーンが多々あり、置いてきぼりをくらってしまうからだ。その意味では、ディズニー配給とは思えない玄人好みの映画だと言えるだろう。
ポーと謎の凶悪犯との頭脳戦という構図が明確であるため、ラストに向かって犯人解明の謎解きという展開はお約束通りなのだが、ミステリーの醍醐味やスリルはたっぷり盛り込まれている。
ただ、一人の刑事の超人的な活躍で突然事件が解決に向かうのは、余りに唐突で都合が良すぎやしないだろうか。ラストは述べられないが、「ひねり」の欠如は「ポーファンによるポーファンのための映画」という格調を落とし、玄人ほど興が冷めてしまうのではないだろうか。原作がある映画は、著作を読んだことのない観客に著作も読んでみたいと思わせてこそ勝利だと思うのだが…。
川端龍介
おススメ度☆☆