橋下大阪市長の反撃で血脈連載中止…「週刊朝日」どこまで覚悟あったのか!?
近頃やや人気に陰りが見える橋下徹大阪市長だが、「週刊朝日」がノンフィクション・ライター佐野眞一を起用して連載を始めた。この連載の意図は、タイトルにある「ハシシタ」や「奴の本性」でわかる。
冒頭は9月12日に開かれた「日本維新の会」の旗揚げパーティのシーンだ。橋下の挨拶を占い師・細木数子と重ね合わせ、「田舎芝居じみた登場の仕方といい、聴衆の関心を引きつける香具師まがいの身振りといい、橋下と細木の雰囲気はよく似ている」。また、「橋下徹はテレビがひり出した汚物である、と辺見庸が講演で痛烈に批判したとき、我が意を得た思いだった」と書いているように、相当きつい橋下批判の連載になりそうな予感がする。
パーティで出会ったけったいな老人の話から続けて、佐野ノンフィクションの常道である橋下の血脈、父親・橋下之峯と被差別部落へと向かい、中上健次の世界と重ね合わせるところで1回目は終了する。「あんぽん」で孫正義の在日三世としての出自を徹底的に取材した佐野が向かうのはどこになるのか。
この連載を橋下が批判したことで、河畠大四編集長がお詫びのコメントを出したが、そのことが波紋を呼んでいる。「記事中で、同和地区を特定するような表現など不適切な記述が複数ありました。橋下徹・大阪市長をはじめ、多くのみなさまに不快な思いをさせ」たことで、次号にも「おわび」を掲載し、連載を中止するという。
橋下の父親の出身地を明記し、そこには被差別部落があると書いた。そのことを橋下が批判するのは当然であろう。だが、筆者の佐野眞一はこう書いている。「一番問題にしなければいけないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性である。そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげなくてはならない」
また、橋下はオレの身元調査までするのかと生来の攻撃的な本性をむき出しにしてくるかもしれないが、「それぐらい調べられる覚悟がなければ、そもそも総理を目指そうとすること自体笑止千万である」と挑発とも思える書き方までしているのだ。
この連載を佐野に頼んだ時点で、どういうものになるか編集長は予想できたはずだし、それゆえ連載のタイトルも「橋下」ではなく「ハシシタ」にし、リードにも「血脈をたどる取材を始めた」と書いたのではないのか。それが、想定通り橋下が攻撃してきたとたん謝ってしまうというのは、私には理解できない。あえて「言論の覚悟」といわせていただく。河畠編集長にはその覚悟がなくて原稿を依頼し、内容をチェックし、タイトルを付けたというのだろうか。橋下の批判に対して受けて立つ論理を編集部側が構築していなかったというのでは、言論機関として脇が甘過ぎる。きついいい方になったが、この問題は週刊誌全体へ向けられたものでもあるはずだ。
文春は橋下「日本維新の会」の資金源は新興宗教団体「生長の家」だという記事を掲載している。次期衆院選では350人の候補を擁立すると豪語している維新の会だが、どれだけ安上がりにしたとしても1人3000万円はかかると政治評論家の伊藤惇夫がいっている。
維新の会の幹部は、生長の家が東京事務所の経費分を支援してくれることになったといい、それを引っ張ってきたのが中田宏前横浜市長だというのである。また、「幸福の科学」も少し出すことになっていると明かす。
だがこの話、橋下側はもちろん、生長の家側も否定している。創価学会を持ち出すまでもなく政治と宗教の結びつきは強い。あってもおかしくない話ではある。