「週刊朝日」(10月26日号)が掲載した連載記事「ハシシタ 奴の本性」に、橋下徹大阪市長が18日(2012年10月)の定例会見で朝日新聞出版と朝日新聞記者に怒りをぶつけた。週刊朝日は18日夜、河畠大四編集長名で「おわび」を発表し、「次号で『おわび』を掲載」するという。
橋下「無関係の過去暴くのは公人であっても認められない」
問題の記事は見出しで間近に迫った衆院選を意識したように「緊急連載」とし、わざわざ橋下(はしもと)をカタカナで「ハシシタ」と書き、「奴」と呼ぶ。ノンフィクション作家・佐野真一氏が執筆者だ。中身は橋下市長の実の父や縁戚者の経歴に触れ、同和地区を特定する表現まであった。
会見で橋下は「僕の今の人格というものを、まず絶対に許さない。で、許さない人格が何なのかといえば、血脈、DNA先祖、実父、縁戚なんだという発想のもとで、僕とは無関係の過去をどんどん無制限に暴き出していくということは、公人であっても認めることはできない」と怒った。
会見に出ていた朝日新聞記者は「編集権は別だ」と反論した。一記者に答えられるのはこの程度だろうが、橋下は納得せず、「週刊朝日に対し株主としてどういう態度を取るんですか。そういう考え方も出さないんでしょ。そんなんだったら不法団体がトンネル会社を作って何でもかでもやるのと一緒じゃないですか」と吠えた。
連載打ち切りか、「おわび」掲載で続行か…
TBS解説委員の吉川美代子「私も読みましたが、読後感は非常に悪かったですね。週刊朝日がこんな記事を出して大丈夫かと思いました」
東京工科大教授の尾崎弘之は「売りたいがためなんでしょうがね。良識がどうのより不快感。朝日新聞も同罪ですよ」という。毎日新聞論説委員の与良正男はこう話す。「別媒体と言っていますが、それは通用しない。読んだ瞬間、これは絶対にやっちゃいけないと思いました。われわれが確認するのも躊躇する内容なんですよ。
佐野さんと取材班は『橋下は許せない』ということなのでしょうが、そのお気持ちはいいですよ。しかし、(佐野さんは)政策論や政治スタイルだとかは興味が持てないと言っており、ただ本性を暴くんだと。
同和地区を特定するような表現は絶対やっちゃいけない。朝日新聞でも取り組んできたはずで、なぜチェックできなかったのか。これは深刻な問題ですよ」
さて、朝日新聞、週刊朝日はどう出るか。連載を打ち切るのか。その場合は執筆者は納得するのか。