映画監督の若松孝二さんが昨夜17日(2012年10月)に亡くなった。先週金曜日(12日)、新宿でタクシーにはねられ入院していたが、容態が急変して午後11時5分死去したという。76歳だった。
若松監督は商業主義とは縁のない「作りたいものを作る」主義で知られ、3大映画祭に招待されている数少ない日本の監督の1人で、海外で高く評価されてきた。キャスターの笠井信輔が解説した。
「実録・連合赤軍」「キャタピラー」「三島由紀夫と若者たち」など数々の映画祭受賞・招待
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」(08年)は、58回ベルリン国際映画祭で最優秀アジア映画賞と国際芸術映画評論連盟賞を受賞。この映画祭では「キャタピラー」(10年)で主演の寺島しのぶさんが最優秀女優賞となった。今年5月の65回カンヌ国際映画祭では、「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」が「ある視点部門」に招待された。さらに8月、69回ベネチア国際映画祭で「千年の愉楽」が「オリゾンティ部門」に正式招待されていた。
「自分でお金を集めて、持ち出して、作りたいものを作るという姿勢を貫いていた」と笠井。若松がこの7月に映画作りを語った映像があった。
「(映画製作に)スタッフも役者もないんです。(撮影に)来るときは必ず1人…。付き人もダメ、マネージャーもダメ、役者1人だけ。荷物持つのも自分で、自分で使うものは自分で持つ。一人ひとりが化粧も自分でやる。だって、 歌舞伎役者も自分で化粧するだろ。顔を出して化粧しないで役者ができるか。ボクの持論はそうなんです」
有名俳優も荷物運び―「キャタピラー」たった11人で制作
笠井「寺島しのぶさんの『キャタピラー』は11人 で撮影したという逸話があるくらい少人数で作っています」
司会の小倉智昭「『連合赤軍』も強烈でしたし、今年の『三島由紀夫』も見ごたえがあった。われわれ世代には強烈な監督でした」
芸能デスクの前田忠明「一時は熱狂的なファンだった。何度かお会いしたが、酒の席で議論を始めると必ず怒られる。ウワーッと激高して。でも酔ってないときはもの静かで、いろんなことを教えてもらいました」
笠井「今の人たちは昭和の歴史を知らないから、歴史を描くんだと」
小倉「商業的には取っ付きにくい映画が多いですよね」
田中雅子(経営戦略コンサルタント)「『キャタピラー』は11人で作ったというので見たいと思って見たのですが、すごいですね。引き込まれてしまった」
小倉「通常は外側から描くところを、この方は中から描きだすんで…」
笠井「まだまだ映画作りの熱とバワーを持っていただけに、本当に残念です」
それはそうだろう。76歳なんてまだまだ。新藤兼人監督を見ろといいたい。それよりも、いまどき新宿でタクシーにはねられるなんて、ありか? このあたりをもっと知りたいのだが、朝のワイドではしょせん無理か。