スマートなノーベル賞受賞者・山中伸弥教授「挫折や回り道したからiPS細胞に出合えた」
このところ明るい話題がなかったこの国が久しぶりに沸きたったのが、山中伸弥京大教授のノーベル医学生理学賞を受賞したニュースである。iPS細胞(人工多機能性幹細胞)というのは、新潮によれば「iPS細胞とは、『万能細胞』とも言われますが、皮膚や神経、臓器などあらゆる細胞になりうる能力をもった若い細胞と思ってもらっていい。つまり、理論的には心臓や各種臓器、神経から皮膚まですべて作り出せる夢のような細胞で、移植など『再生医療』に道を開く画期的な発見なのです」(科学評論家・佐川峻)
大阪で生まれ、実家は東大阪でミシン部品工場を経営。少年時代はスポーツ少年で柔道に打ち込んでいたという。神戸大学医学部時代はラグビーをやり骨折も経験し、卒業した後は整形外科医を目指したが、研修医時代に20分でできる手術が2時間もかかり、ついた渾名が「ジャマナカ」だったという。山中教授は臨床医からドロップアウトして基礎研究の道に進み、そこでも何度か挫折を味わいながらiPS細胞の研究を結実させる。 山中教授は「『大発見』の思考法」(文春新書)でこう語っている。
「『人生万事塞翁が馬』だと思っています。挫折や回り道を経験したからこそ、iPS細胞に出会うことが出来た」
何ともスマートなノーベル賞受賞者である。