米国で「iPS細胞実用化」大ウソ!発表の日本人研究者ノラリクラリ学会発表も中止

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   きのう11日(2012年10月)の「とくダネ!」が盛大に伝えた読売新聞の特ダネが、一夜明けておかしなことになっていた。山中伸弥・京大教授のノーベル賞授章で脚光をあびた「iPS細胞」で、米国ハーバード大学の日本人研究者チームがすでに臨床応用に成功していたという「ものすごい」話だったのだが…。司会の小倉智昭が「私たちも読売新聞に飛び乗って、きのう大々的にお伝えしたんですが、あの話は本当なの?ということになっています」という。

   当の読売新聞はきのうの夕刊で当事者のインタビューをのせていたが、きょう未明になって、大学や病院から否定的な情報が次々と出て来ていた。

マサチューセッツ総合病院「彼とは無関係。医者ではないし手術行われていない」

   伝えられたのは、米ハーバード大の森口尚史・客員講師(48)らのグループが、山中教授とは違う独自の手法でiPS細胞から心筋細胞を作り、重症の心臓病患者に注入して効果を上げたという内容だった。倫理面では学内の倫理委の暫定承認を得て、患者には弁護士立ち会いで手続きを踏んだ。 世界初の臨床応用例で、さらに6人を治療中と、相次ぐ日本人の快挙だと伝えられた。

   森口氏はきのうニューヨークで開かれたトランスレーショナル幹細胞学会で発表するといっていたため、日本のメディアが待っていたのだが、彼は現れなかった。

   そこで、マサチューセッツ総合病院に確認したところ、森口氏は1999~2000年に客員研究員だったが、以後は病院とも大学とも無関係で、手術も行なわれていない、6人の治療も「知らない」という。また、学会の発表も「内容に疑義がある」と中止になったということもわかった。

   慶大医学部の八代嘉美・特任准教授は「読売の記事で『やったのか』と驚いた。ただ、(患者が)肝臓ガンだったと聞いているので、そのガン細胞からiPS細胞をつくって、その心筋を移植するというのが科学的に妥当かどうか、安全性にも疑問は持っていた」という。

   小倉「この人、研究者だが医師ではないという」

   八代「執刀は他の人がやったのか。しかし、手術してないとなると…」

報道陣の追及に「プライバシーあるので患者も執刀医の名前も明かせない」

   笠井信輔キャスターが「森口さんはいくつか事実と異なることを口にしているようで、こういう場合、雲隠れするものですが、森口さんはいまニューヨークで記者会見をしています」という。ニューヨークの西橋麻衣子記者がその会見に出ていた。現地時間の午後2時から、マンハッタンのホテルの部屋に日本人記者10人ほどが詰めかけて話を聞いたのだが、納得のいく答えがえられないため、もう6時間も押し問答が続いているのだという。

   西橋は「物的証拠もパソコン資料もなく、何ももっていないというので重苦しい空気になっている」とレポートする。手術に立ち会う手術助手の資格はあるといったが、「記録にない」と問われると「おかしいな」。手術をしたという時期に本当にアメリカにいたのか、パスポートを見せて欲しいと求めても、 「持ってない」と話すなど、おかしなやり取りが延々と続いているという。

   小倉が「あなたの感触は?」

   西橋「何も証拠を出せない。学会で来ているのに何も資料がない。どういうことなんだろう、全部ウソなんじゃないかと思ってしまいますね」

   小倉「手術はしたといってるの」

   西橋「はい。でもプライバシーがあるので患者も明らかにできない、執刀医の名前も迷惑がかかると明かしません」

   小倉「成功してるんなら大ニュースだから、迷惑なんかかからない。アメリカでは報道されているの」

   西橋「カリフォルニア州立大で書いてるだけです」

   八代「ポスター発表(の予定だった)と聞いているので、世界初ですから口頭発表でいいはず」

   小倉「そのポスターもはがされたというし…」

   笠井「学会が疑義があるとしてはがしたということです」

   ショーン・マクアードル川上(経営コンサルタント)が面白いことをいった。「1億5000万円をファンドで調達したというから、投資家へなんらかのアピールを迫られていたのではないか」。なるほど、あり得る。

   小倉「かつて、考古学者が自分で埋めて掘り出してというのがあったが、そういう臭いもして来た」

   どっちにしても、前代未聞のお話。読売新聞もえらいものを掴まされたものだ。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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