政府は先月(2012年9月)打ち出した「革新的なエネルギー環境戦略」で、「2030年代に原発ゼロ」を掲げた。ところが、野田政権はその直後からこれを否定するような言動を繰り返し、原発行政はいまや矛盾だらけだ。「朝ズバッ!」は「矛盾は3つある」という。
「近いうち選挙」に不利と再稼働判断を規制委に押しつけ
矛盾の1つ目が原発の再稼働を誰が最終的に判断するかだ。50基ある原発のうち稼働しているのは福井県の大飯原発3、4号機だけだ。政府は原子力規制委員会が新たに定める安全基準の審査を経て、安全と認められれば再稼働させる方針だが、その判断について野田首相は「規制委が主導的な役割を果たす」と言う。
最終判断を押しつけられた形の規制委の田中俊一委員長は、「政府がそれを担うのだろうと思っている。私どもに再稼働の判断をやれというのは困ります」と反発する。規制委が判断するのは安全かどうかで、再稼働の判断ではないというのである。
国会事故調査委員会の委員だった野村修也弁護士は、「再稼働することについて、政府自身が決めるのは選挙に不利だということから責任回避しようとしていると感じます」という。野村はまた、枝野経産相が「(地元への説明は)電力事業者が行う」としていることについても大きな問題があるという。野村は「安全基準を満たしているものを再稼働をさせるのであれば、国自らの責任において説明をしなければいけない。地元対応は事業者に任せるというのでは、今回の事故を全く反省していないことになる」と厳しい。
原爆5000基分のプルトニウム10万年管理―誰がやるのかできるのか
2つ目の矛盾は、旧安全基準のまま再稼働させている大飯原発3、4号機をどうするのか。新たな安全基準づくりを進めている規制委は、旧安全基準の一つとしてきたストレステストを再稼働の要件に入れないという。
大飯原発3、4号機の再稼働に疑問を呈してきた元経産官僚の古賀茂明は、「これからはちゃんとした安全基準を作り、きちんと審査をしたうえで判断しなくてはいけないと言っているので、大飯原発は規制委の立場から安全だとはいえないと言っているのと同じだ」と矛盾を指摘している。
3つ目の矛盾は新たな原発の建設。12基の原発の新増設が計画されていたが、このうち9基ついては枝野経産相は「立地自治体に対し十分に配慮し、調整したうえで止めていくことを決めていく」としている。しかし、残る3基の原発は建設を容認だ。このうち、年内にも工事が再開されると見られている青森県・大間原発は、完成すれば2050年代まで稼働が可能で、「30年代原発ゼロ」の政策方針と明らかに矛盾している。
大間原発では、使用済み核燃料を再処理し取り出したプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を使用することになっている。日本は平和利用以外にプルトニウムを使用できない。そこで、核燃料サイクル計画としてこのMOX燃料を使用するわけだが、すでに45トンものプルトニウムが取り出されている。
コメンテーターの松原耕二(TBS解説委員)「原爆5000発分に相当するプルトニウムを持っているということです。それを10万年にわたり安全に管理しなければ人体に影響しないレベルまで落とせない」
10万年とは想像を越える時間だ。やはりどこかで歯止めをかけないと必ずどこかで破たん出る。司会のみのもんたは「(その時は)日本沈没です」とボソリ…。