東電「福島事故直後ビデオ」第2弾!「自衛隊に頼んでぶっ飛ばしちまえ」「いや、もったいない」

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   東京電力は先週5日(2012年)、福島第1原発の事故直後の本店とのやり取りの一部、6時間分を公表したが、詳細に見ると、事故を全く想定せず、マニュアルすらなかった東電の実態が明らかで、福島の住民からは「ずぶの素人のやり方だ」という声も出ている。

危機感ない本店「バッテリー買い出しに行きます」「だれかへりで現金輸送しろ」

   公表されたのは、事故発生直後の3月12日から15日までのうち、編集された約6時間分だ。8月に公開した90分の追加である。ここで明らかなのは、政府の指示に振り回され、行き当たりばったりに指示を出す本店と現場との緊張感の差だ。

   本店と福島第1の吉田昌郎所長とのやり取り。「おい吉田」「はい」「ドライウエルベント(排気)できるならすぐやれ、早く」「そんなきれいごといったって、できないものはできないんだよ」

   12日には菅首相(当時)が原発に乗込んでハッパをかけた。これが緊急事態できりきり舞いの現地をさらに混乱させ、対応を遅らせたと批判をあびた。これについて、本店は「民主党政権は若い人が大臣になって、優秀な人たちだとは思うが…、『イラ菅』という言葉があるけど、よく怒るんだよね」と愚痴をこぼしている。

   現地と本店の温度差。本店が「おそくまでお疲れさまでした」と呑気に声を掛ける。吉田所長は「避難区域が20キロ圏内なので、みなどっちみち帰れないんですよ。寝ているか起きてるかの違いだけで…」と憮然として言い返す。

   2号機、3号機の電源確保で車のバッテリーを利用することになったが、原発資材班は「これからパッテリーを買い出しに行きます。現金をお持ちの方は貸していただけないでしょうか。よろしくお願いします」は呼びかけ、本店は「ヘリで飛ぶ人はいるのかな? 役割は現金(輸送)」と答える。周囲は壊滅状態でバッテリーの買い出しなど不可能だという認識はなく、ヘリを飛ばすなら現金輸送ではなくバッテリー空輸だということも気が付かない。

現場の「海水注入やります」に「原子炉が腐っちゃう。なるべく真水で」と本店

   吉田「2号機の海水注入ラインはまだ生きていない。これを生かすにはかなりの勇気が必要だけど、ここはもうジジイの決死隊で行こうかと相談している」

   本店スタッフ「自衛隊に頼んでさ、火器バネルでぶっ飛ばしてもらえば?海側から」

   本店幹部「それ考えたんだけど、下に大事なものがいっぱいあるんだよ」

   本店スタッフ「どのみち吹っ飛ぶぜ」

   本店幹部「いや、下は吹き飛ばない」

   命をかけようという現場とサジを投げたような本店。

   吉田所長は海水注入を準備していた。

   吉田「海水からやりますよ」

   本店「海水だと(原子炉の)材料が腐っちゃう。もったいないので、なるべく粘って真水を待つ選択肢も」

   吉田「いまから真水はないです。時間が遅れる。真水ならあとで使えるということでしょ」

   本店「そういうことです」

   菅首相が「計画停電」を了承したとき、最初の3月14日の停電は実施されなかった。その舞台裏では…

   本店「官房長官と福山官房副長官と蓮舫需給対策大臣かな、その3人からですね、人工呼吸器、人工心肺、これを家庭で使っている人をお前は殺すことになる、それを承知で実施するなら、殺人罪に問うぞといわれました。だから午前中はやらない」「記者会見なんかやったら大変なことになる」

   さらに14日の3号機の爆発で混乱は広がったが、2号機はさらに危機的な状態だったが、1号機の爆発で建屋が壊れ、水素が逃げたために助かった。それを聞いて安堵する声。まったく僥倖だったのだ。

   司会の小倉智昭「そのとき何があったのかが、やり取りをくっつけるとよくわかる」

   田中大貴アナ「6時間の映像を見ると、本店は官邸の要求を現地に丸投げ。本店が責任をとるという場面はなかった」

   竹田圭吾(ニューズウィーク日本版編集主幹)「当事者能力を失っている。原子炉の損害を心配して海水注入をためらうというのは、優先順位を間違えている。人災なんだなと思う。これでは再稼働を簡単に判断してはいけない」

   キャスターの菊川怜「天秤にかけてはいけないものを」

   竹田「お金を優先してた」

   3月16日以降の650時間分も公表する段取りだが、どう要約されるか。肝心な所を隠すことだってできる。 事故が起こって1年半経ってこれである。世界が信用するはずがあるまい。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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