スマホ、タブレット向け中小型で生き残り掛ける「ジャパンディスプレイ」
早大ビジネススクールの遠藤功教授は「日本企業の弱みが出てしまった」という。「スピード感の違いです。韓国、台湾はトップダウンで決断も実行も早い。日本はサラリーマン経営で遅い。かつて、半導体でも起こったことです」
同じ液晶でも、スマホやタブレット用の中小型となると勢力図が変わる。1、2位を日本メーカーが占める。1位の「ジャパンディスプレイ」は今年4月に日立、東芝、ソニーが共同出資して作った液晶専門の部品メーカーである。3社の液晶部門の統合でシャープを抜いてシェアトップに躍り出た。
3社の高い技術力を生かし、スマホでフルハイビジョン並の画質を達成した製品を10月から量産を始める。売り上げ4500億円を目指し、初年度から黒字をもくろむ。大塚周一社長は「技術は常に追いかけられている。スピード感が大事だ」という。規模の拡大も急ぎ、300億円でパナソニックの工場を買い取った。大型液晶の工場を中小型用に作り替え、客のニーズを先取りした高精細パネルで王国の復活を目指している。「成功しなきゃいけない。しないとすべてがなくなる」と大塚社長はいう。
はたして見通しはどうか。遠藤教授は「意思決定のスピードの次は実行のスピード。技術の最先端の優位を持続的に保てるかどうか。さらに、いまはオールジャパンだが、オールアジアという発想もありうる。韓国、台湾をパートナーとする戦略だ」という。
つまり、シャープはすでにその入り口にいるということか。あるいはアップルのような高度な要求に応える技術力で生きるか。どっちにしても、 半導体の二の舞いだけは御免被る。ビジネスでも勝ってもらいたいものだ。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年10月4日放送「復活なるか液晶王国ニッポン」