「30年代の原発ゼロ」を目標に挙げた野田政権が、舌の根が乾かぬうちに大間原発(青森県)の建設再開を容認した。「朝ズバッ!」はこの矛盾した政策を取り上げ、数日前まで原発担当大臣だった細野豪志政調会長を攻めた。
函館市長「50キロ圏内に青森9万人、函館37万人。それでも相談ない」
大間原発は電源開発が2008年5月に着工した。電源開発は発電した電力を電力会社に卸している卸電力事業者で、消費者と直接つながっているわけではない。昨年(2011年)3月の福島第1原発事故直前までの工事進捗率はまだ27.6%で、今なら工事をやめることもできる。しかし、工事を再開し完成すれば2040年後半まで稼働することになり、原発ゼロの目標と矛盾する。
ところが、矛盾を承知のうえで、北村雅良社長は地元の大間町に建設工事再開を伝えた。交付金の給付が継続され、工事関係者の出入りで潤うこの小さな町の金澤満春町長は、「ホッとした」と喜びを隠そうとしない。福島原発事故で何を学んだのか。そうした構図は福島原発事故以前とまったく変わらない。
これに津軽海峡を挟んでわずか23キロしか離れていない対岸の北海道・函館市民の怒りが爆発した。工藤壽樹市長は次のように怒りをあらわにする。「大間原発の周辺50キロ圏内の人口は青森県内は9万人しか住んでいないが、函館市には37万人住んでいる。ところが、青森県には意見聴取したり、説明会を開いて建設を決めたのに、その時こちらはまったく無視され、何らそういうことは行われなかった。そんなバカな話はない」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト