経営厳しくなってから慌てる現地法人の場当たり体質
もっとも、これが特殊で異質でヘンな中国に日系企業が「翻弄」された例と言えるのかは、よくわからない。約束した支払いもできずに夜逃げしそうな会社の社長が、従業員・債権者の怒りを買うのは中国に限った話ではない。経営者が取り囲まれ、罵声を浴びせられ、逃げないように軟禁同然に監視される。これは乱暴で、法律に触れることかもしれないが、日本でも起きる事態である。
アジア各国に進出している日系企業の経営管理が専門の白木三秀・早稲田大学大学院教授は、こうした企業は「非常に厳しい状況になってから対応を考えている」と指摘する。「前もって中期的なシナリオ、ロードマップを作り、経営の客観的なデータに基づいて、撤退なども含めてどうすべきかを用意しておくこと」が必要なんだそうだ。
ボンド柳生
*NHKクローズアップ現代(2012年10月2日放送「撤退ができない…中国進出・日系企業の苦悩」)