「流通ジャーナリスト」という肩書きは彼だけになるかもしれない。独特の語り口で人気だった金子哲雄さんがきのう2日(2012年10月)未明亡くなった。41歳。病名は聞き慣れない「肺カルチノイド」という。闘病を1年半隠し通していた。
専門病院でも1年に1人か2人という珍しい肺カルチノイド
まあ、出てきたときは「何だこいつ!」だった。解説はむしろモタモタしていて、トンでもないことを断定したり、かと思うと企業のウラに通じていたり…。とにかくユニークな節約話がバラエティーにまで受けていた。フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」で大ブレークした。「午後9時に寝ると簡単にお金がたまります」なんてやってMCの明石家さんまに突っ込まれても、めげない明るいキャラが受けた。その見かけとは違って気配りの人で、惜しむ声もお笑いからお固い向きまで幅広い。
司会の小倉智昭「6月の番組収録では元気そうに見えました。闘病を隠していた。一度財布の中身を見せることがあって、カードが多いのでなにか言われるかと思ったら、『仕事柄しょうがないですね』とやさしい気配りの人だった」
よく顔を合わせたというデーブ・スペクター(テレビプロデューサー)は「経済評論家というと悲観的な話が多いが、金子さんは暗い話でも明るくする。キャラもよくて楽しい方でした」と話す。
肺カルチノイドというのは肺の腫瘍で、医師も「専門病院でも1年に1人か2人」という珍しい病気だという。すい臓や肺でガンとは違う細胞が腫瘍化したものだ。30代、40代に多く、進行は遅く痛みも少ないが、原因はわかっていない。金子さんは1年半前にわかったが手術はせず、抗がん剤を使っていたという。医師は「(病変が大きくて)おそらく手術ができない状態だったのでしょう」という。しかし、家族と事務所のスタッフ以外には知らせず、それまで通りテレビなどに出演していた。7月以降は出演を控え、きのう自宅で奥さんに看取られて逝った。子どもはいない。
東京タワー近くの合同墓購入「見上げて思い出してください」
笠井信輔キャスター「自宅で亡くなるという道を選んでいました。葬儀も含めて全てを準備していたようです」 という。金子さんとレギュラー番組を持っていたニッポン放送の垣花正アナが8月に病気を気遣って自宅を訪問したところ、葬儀から入金、お通夜の料理まで手配済みだったそうだ。
小倉「東京タワーが見える所にお墓を購入されてるんですってね。東京タワーを見て、私を思い出してくれればとおっしゃったとか」
笠井「そうなんです。東京タワーを見上げるお寺の合同墓だそうで、夜中でもお参りができる」
故立川談志の長女でクラブ経営者の松岡弓子が、「41歳でお墓の手配までというのはすごい。父も昨年亡くなりましたが、父はお墓もいらない、勝手に戒名をつけるで、何もしないで逝きました」
いや、あれはまた特別ですからね。それでなくても60、 70歳を過ぎればどうでもよくなるものだし…。やはり41歳では、心残りだったのでしょう。わかる気がする。