2030年に原発ゼロ。この意味するところは一目瞭然、わかりやすい――と思ったら、それは政治家言葉の理解が足りない故の勘違いである。直近の政府の説明では、それは2030年代には原発ゼロが可能となるぐらいの代替策を用意できるように、前向きに施策を進めていくというほどの意味らしい。
そして、いつの日か来たる(「その日」はいくらでも延期できそうだ)原発ゼロに向けて、原発の新設はしないが、現在建設中の原発は建設を認める方針である。そんなことで、このほど青森県の大間原発の建設再開がめでたく決まったという。
「原発のことはなにも話せない」地元は言いたいけど言えない
地元の大間町長は「再開に安堵している」と原発で潤う喜びを率直に表現した。だが、大間という土地はまだ今のところ、原発の町としてではなく、マグロの町としてのほうが世間の通りがよい。そこで「モーニングバード!」が漁業関係者に原発をどう思ってるかを聞こうとすると、なにも話せないと電話を切られてしまったという。「地元は言いたいけど言えないって人も多いでしょう」と羽鳥慎一キャスターは話す。
そんななか、あるマグロ漁師は「工事が再開されないと潰れる建設会社が安堵しただけで、海で生きてる者は心配なのではないか。事故が起きれば、今まで築いてきたブランドがいっぺんになくなる」と話した。
文
ボンド柳生| 似顔絵 池田マコト